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好きな本とかについて、ちょこちょこっと書く場所です。蔵書整理の見通しないまま、特にきっかけもなく08年12月ブログ開始。

証言UWF最後の真実

2018-02-18 17:38:10 | 読んだ本
前田日明+藤原喜明+山崎一夫+船木誠勝+鈴木みのるほか 2017年 宝島社
なぜか出版ブームっぽいUWF、というわけでその策略にはまるべく、複数のものを読んでってる私。
これは2冊目、帯に「『1984年のUWF』への前田日明の反論」なんて書いちゃってるけど、出版社ちがうのに便乗して続編のようなもの出すかね。
前回私が読んだ『1984年のUWF』は、佐山だけに思想があって、ほかのプロレスラー連中はカネのことくらいしかアタマにない、って調子だったんだが。
本書は、著者名んとこにずらっとレスラーの名前並べてるけど、よーはインタビュー集。
まえがきんとこに「本書は証言者たちの生の声を最大限に生かすため、説明文は最小限にとどめた」なんて書いてあるけど、そういうのって雑なような気がする。
で、のっけから日明兄さん登場すんだけど、
>UWFというものを俺の知らないところで偉そうに語ってるひといるでしょ。いまになってUWFを否定する連中ってのは、全部あと出しジャンケン。当時の状況をなにも知らない、もしくは忘れてる連中だよ。(p.69)
と堂々と言ってます、カラダ張って先頭立ってたのに、外野がいまになってゴチャゴチャ言うなってことか。
佐山のやろうとしてたことについては、わからんでもないけど、それでどうやって若いレスラーが食っていけるのかが見えないから実現できなかったということのようだ。
>それであの人はね、すぐに『これが実現できなかったら俺は辞める』って言うんだよ。(p.28)
ってのも、すごい不満だったようで、まあ佐山以外のメンバーは生活がかかってたと。
でも、時代を追って読んでくと、なんか繰り返される展開みたいのがあって、最初のころ、佐山だけは道場に来なくてとかって話なんだが、新生UWFが好調になってメディア露出とか増えてくと、前田は練習しにこないみたいな話になってくる、若いひとたちから見ると。
ちなみに、なんか一貫して若いひとたちに支持されてるように思えるのは、高田。それにスパーリングでもいちばん強いという評が多い。
結局、前田はレスラーたちのこと思ってフロントと対立したはずなのに、若手まですべてをまとめることができず、解散に至ることになっちゃう。
>あの頃、俺は民主主義というものを勘違いしてた。(略)とにかくみんなの意見を平等に聞かなきゃいけない、取り上げなきゃいけないって思ってた。本当はなにをやらなきゃいけないかって言うと、一番頑張ってるヤツから意見を聞かなきゃいけないんだよね。その代わりその人間は責任も取ると。(p.52)
という具合に、いまになれば前田も冷静に振り返ってはいますが。
前田についてけない、若手だけで団体をつくろうとしたとされる宮戸優光のインタビューとかもおもしろいけど、やっぱ宮戸も、
>いまになってUWFやプロレスについてわかったようなことを言う人がいますけど、そう簡単にわかりやしないですよ。(略)プロレスは、そんな簡単なものじゃないんですよ。(p.227-228)
というようなことを言ってる。
一方で、鈴木みのるは今さらあーだーこーだ言いたくないという気持ちが強そうで、
>さらに、文章で仕事してる人たちがいろんな話を聞いて、それをまとめるからおかしくなっちゃうんです。(略)本来、まとめちゃいけない話。それぞれの人間にそれぞれの葛藤があったわけで。(p.287)
みたいに、本書も含めてんだろうな、プロレスマスコミのこと批判することまで言って、最後には、
>いろいろ話したけど、正直どうでもいいっス。30年前の話ですよ!? いつまで昔の女引きずってるんですか。(p.291)
と言う、いい了見だと思う。
団体のゴタゴタは抜きで、船木のインタビューんなかで一番おどろいたのが、前田との初めての一騎打ちのあと、
>『気持ちはわかるけど客が盛り上がっていない。客を教育するのにあと5年かかるから、順番を飛ばさずにやっていこう』と言われました。(p.260)
っていう前田の言葉、うーん、そうだったのか、格闘王も苦労する。
あと、前田のインタビューのなかで、そんなんあったのかって思ったエピソードが、第一次UWFがうまくいかなくて提携ってことで新日マットへ帰るときに、実は全日本とも接触してて、馬場と交渉したら、前田と高田だけならいいが全員は無理って言われたって話。さすが馬場社長、ビジネスの実力は誰よりもすごい。
コンテンツ、登場人物は以下のとおり。
第1章 「前田日明」の苦悩と怒り 前田日明
第2章 「U」創成期の真実 更級四郎 杉山頴男 ターザン山本
第3章 「U」に賭けた男たち 藤原喜明 山崎一夫
第4章 「U」に翻弄された男たち 新間寿 上井文彦
第5章 「新弟子」たちの叫び 中野巽燿 宮戸優光 安生洋二
第6章 「新生」を生き抜いた男たち 船木誠勝 鈴木みのる 田村潔司 垣原賢人
第7章 「崩壊」の目撃者たち 川崎浩市 尾崎允実
巻末の1983-1991 History of 「UWF」って年表はわかりやすい。

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