立川志らく 2011年6月 新潮選書
最近読んだ、落語論。いいこと言うねーって思えるとこ、いっぱいあって面白い。
まえがきで、落語ブームなんてのはすぐ去ったけど、客だって落語なら何でもいいわけぢゃなくて、面白い落語家の落語を求めてる、音楽だって何だってそうでしょ、自分の好きなアーティストを聴くもんだ、って話があるけど、まあそうだ。
>現代の大人はだらしない。(略)大人が喜ぶ流行歌をこしらえるべきなのに、子供に受ける曲ばかり作る。手っ取り早く商売になるからだ。大人の歌が流行っていれば、子供たちは背伸びしてそれを聴くようになる。(略)アレンジなどせずに、大人の文化を子供にぶつけた方がいい(略)「子供に迎合した時点でその国の文化は衰退してゆく」
なんてのは、はげしく同意します。テレビ番組なんかもそうだよね。
落語ブームに乗じて、落語の噺を映画化・演劇化したけど、面白くない、なぜか。
>落語の本質は物語にはない。たいしたストーリー的骨格などもともと持ち合わせていないのだ。物語性豊かだといわれる人情噺であっても、よくよく考えてみれば「それがどうした」という程度の骨組みである。
うん、そうだ。落語を面白いって感じて映画とか他の場所へ持ってこうとするひとは、その面白さがストーリーだと思ってんだけど、それはちょっと違う。
おなじような感じで、落語の落ちについて。
>落語という芸能において、物語のその後は特に気にはならない。理由のひとつにまず物語性の希薄さが挙げられる。(略)そしてもう一つ、物語の続きが気にならない理由に、落ちの存在が挙げられる。落語には物語のセオリーたる起承転結の「結」がない。盛り上がったところでいきなり終わるのだ。
バカバカしい落ちで終わる。落ちってのは、終わりの合図、ポンって手を叩いたら催眠から覚めますって感じの合図だから。
んぢゃ、落語って何だろうって思うんだけど、「名人の落語を聴くと眠くなる理由」という章で、音・リズム感みたいなものについて説いている。
ジタバタと妙に動きが多かったり、やたら熱を入れてしゃべるもんぢゃない。力いっぱい長くやりゃあいいってもんでもない。
そのへんのとこ、談志家元の言葉がある。
>「この演じ方は落語じゃないんだ。二人の会話の両方とも感情が入りすぎているだろ。落語なんてぇものは、普通の会話のところに感情なんかいれねぇんだ。気持ちよくトントンとやるんだ。それで肝心なところで、ぐっと気持ちを入れるんだ。」
カッコいいなぁ、家元は。
あちこちに家元語録があるのも本書のいいところ。
最近読んだ、落語論。いいこと言うねーって思えるとこ、いっぱいあって面白い。
まえがきで、落語ブームなんてのはすぐ去ったけど、客だって落語なら何でもいいわけぢゃなくて、面白い落語家の落語を求めてる、音楽だって何だってそうでしょ、自分の好きなアーティストを聴くもんだ、って話があるけど、まあそうだ。
>現代の大人はだらしない。(略)大人が喜ぶ流行歌をこしらえるべきなのに、子供に受ける曲ばかり作る。手っ取り早く商売になるからだ。大人の歌が流行っていれば、子供たちは背伸びしてそれを聴くようになる。(略)アレンジなどせずに、大人の文化を子供にぶつけた方がいい(略)「子供に迎合した時点でその国の文化は衰退してゆく」
なんてのは、はげしく同意します。テレビ番組なんかもそうだよね。
落語ブームに乗じて、落語の噺を映画化・演劇化したけど、面白くない、なぜか。
>落語の本質は物語にはない。たいしたストーリー的骨格などもともと持ち合わせていないのだ。物語性豊かだといわれる人情噺であっても、よくよく考えてみれば「それがどうした」という程度の骨組みである。
うん、そうだ。落語を面白いって感じて映画とか他の場所へ持ってこうとするひとは、その面白さがストーリーだと思ってんだけど、それはちょっと違う。
おなじような感じで、落語の落ちについて。
>落語という芸能において、物語のその後は特に気にはならない。理由のひとつにまず物語性の希薄さが挙げられる。(略)そしてもう一つ、物語の続きが気にならない理由に、落ちの存在が挙げられる。落語には物語のセオリーたる起承転結の「結」がない。盛り上がったところでいきなり終わるのだ。
バカバカしい落ちで終わる。落ちってのは、終わりの合図、ポンって手を叩いたら催眠から覚めますって感じの合図だから。
んぢゃ、落語って何だろうって思うんだけど、「名人の落語を聴くと眠くなる理由」という章で、音・リズム感みたいなものについて説いている。
ジタバタと妙に動きが多かったり、やたら熱を入れてしゃべるもんぢゃない。力いっぱい長くやりゃあいいってもんでもない。
そのへんのとこ、談志家元の言葉がある。
>「この演じ方は落語じゃないんだ。二人の会話の両方とも感情が入りすぎているだろ。落語なんてぇものは、普通の会話のところに感情なんかいれねぇんだ。気持ちよくトントンとやるんだ。それで肝心なところで、ぐっと気持ちを入れるんだ。」
カッコいいなぁ、家元は。
あちこちに家元語録があるのも本書のいいところ。