kanekoの陸上日記

毎日更新予定の陸上日記です。陸上競技の指導で感じたことやkanekoが考えていることなどをひたすら書きます。

懸垂幕完成

2011-07-01 | 陸上競技
先週、横断幕について書きました。インターハイに出場する選手の横断幕を出場する本人にミシンで縫わせて作成させる。書いてもらうのだから作るのは当たり前だというような視点で物事を見ている人間に作ってもらいたくはないと思いました。インターハイに行くという事の意味、部活動を全力で取り組む事の意味を少しでも分かるなら「自分の物だから自分が手伝うのは当たり前」という発想にはならないはずです。絶対に許せませんでした。

陸上部は事前にその話をきいていたので断固拒否しようと思っていました。後で聞くと昨年は全国大会に出場した部活動の生徒を夏休みに1週間くらい強制的に家庭科室に集めて横断幕用の布を縫わせたようです。「作るのは当たり前」のような感じです。絶対におかしい。感覚が違いすぎる。上の人に話をしましたが全く伝わりません。「そんな事実があるのは知らない」と責任放棄。言葉は悪いかもしれませんがこれが現実です。前も書きましたがインターハイ出場が決まって「おめでとう」も「お疲れ様」もありません。これを望んでいるというわけではなく気持ちの問題です。全く応援しているという雰囲気が伝わってきませんから頭にきていました。
応援されるためにやっているわけではありません。しかし、横断幕を作るという意味が分からないというのは話しても無駄なんじゃないかと考えました。手作りの方がお金がかからないから…と言われましたが、そうではなくて気持ちの問題なのです。財政上、お金がかからないほうが助かるのは当然です。「全国頑張れ」という気持ちが込められた手作りなら喜んで作ってもらいます。今の状態が全く違うというのが伝わりません。もどかしい。うちだけお金をかけて作ることは出来ないと言われました。もう何を言っても仕方ないなと諦めました。

こうなったら絶対に気持ちの入ったモノを作ってやると思いました。どれだけの事なのかを分かってもらわないといけません。すぐに卒業した選手に連絡をしました。今回の経緯を説明し、「応援してくれる人間の力で横断幕を作りたい」と。インターハイに行くことの見えない価値を分かってくれる人間の力で作りたいと。卒業生に少しずつ寄付を募りました。このような形で作るのはどうなのかと言われるかもしれませんが、やはり「気持ち」の入った物を飾ってあげたかったので。

注文してから数日で届きました。卒業生が日替わりで学校に寄付を持ってきてくれました。顧問も寄付をしました。それで出来たのがこの懸垂幕です。正門から入って一番目立つところに張りました。作成する前に上の人に面談の中で「自分達で作って飾るけど本当に良いのか?」と話をしましたが、全く反応がなかったので関係なく張りました。多くの人が「おかしい」と言っていますし、今回の行動を応援してくれていました。どこを向いて教育をするのかが分かっていれば当然だと思います。



実際に飾ってみると見映えも良く、本当に良いものが出来たと思います。この価値は見た目だけではありません。これを作るまでに卒業生がうちの選手の事を想ってくれたこと、周りの先生方が応援してくれたことが大きいのです。形に現れている素晴らしさよりももっともっと大きな意味があります。私は卒業生の想い、心遣いを本当に嬉しく思います。この子達と一緒に陸上競技が出来たことを本当に誇りに思います。

今回の懸垂幕には「陸上競技部卒業生一同」という文字も入れました。ここにも大きな「想い」があります。





飾った後の練習前に選手を集めてこの懸垂幕の前で話をしました。この懸垂幕の見えない価値を伝えるためです。卒業生が今回のインターハイ出場を自分の事のように喜んでくれていることは理解しなければいけません。自分達が高校時代に一生懸命やってきたことだからその価値が分かる。卒業した後も見守ってくれているのです。深い関わりが無いかもしれませんがそれでも少し離れた場所で応援してくれているのです。
それに応えることができる選手になってもらいたいと思います。全員が目標意識を持って取り組むからこそ意味があるのです。

多くの人の想いを背負って取り組んでいきたいですね。来年に向けてしっかりと進んでいきます。
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チーム作りのために~エースの存在感~

2011-07-01 | 陸上競技
チーム作りのために。もう一つの要素は「エース」の存在だと思います。キャプテンとエースの両輪が上手く回るとチームは一気に強くなります。前の記事にも書きましたが人数が少ない場合は「キャプテン」だけしかいないこともあります。これだけではやはり長続きしません。「チーム力」という見えない力を引き継いでいくためには「キャプテン」と「エース」がそれぞれの役割を果たしていかないといけないと考えています。

キャプテンはその「取り組む姿勢」で他の選手に大きな影響を与えていきます。どんなに苦しくても決して手を抜かず、チームのことを考えながらも自分のことに一生懸命になる。こういう姿を見て他の選手が「取り組み方」を学ぶのです。これがキャプテンに与えられた大きな役割と責任です。

エースは「力」でその存在を示す。練習を前に出て全力で引っ張ることで周りの選手に大きな刺激を与えることになります。どんな状態でも絶対に負けないという姿勢を見せることでチーム内の信頼感が生まれます。「この人がいるからリレーで絶対に戦える」という絶対的な信頼感を得ることが重要です。まずは「とにかく強い」というのをチーム内に植え付けていく必要があります。そこがエースの最低限の条件であり、第一段階だと考えています。
もちろんこれだけは絶対に信頼は得られません。「強い」からこその責任が大きくあるのです。「強い」者はそれなりに練習をしても強い。最初の時点からある程度の力の「差」があるからエースなのです。このエースが一生懸命に練習に取り組まなければ、他の選手は「練習をしなくても強いから・・・」という気持ちが生じます。当然です。エースになるなる者はキャプテンと同様、いやそれ以上に真剣に競技に取り組まなければいけないのです。ここができなければ間違いなくチーム内に不協和音が生じます。「強いから何をしても良い」という分けではありません。大会で結果を残すと高校生は勘違いします。自分が偉くなったような錯覚に陥るのだと思います。チーム内で自分が一番速いから偉いのだと。こういう人間がいるとチームは絶対に崩れます。「力」があるからこそもっともっと謙虚に物事に取り組まなければいけないと考えています。

最初はこの部分が理解されません。自分は練習をやっている。他の者と同じではないか。なぜ自分だけが注意を受けるのかと不平不満を抱えます。これも高校生レベルでは当然生じる感情だと思います。しかし、その部分をクリアできる者は必ず「本物のエース」になります。理解できない者はそこから抜け出せません。自分だけが、自分だけがという気持ちが強くなり結局指導に素直に従わなくなります。これで終わり。これ以上強くなることは決してありません。「力」があるからこそもっともっと考えないといけないのです。自分のことだけを考えるエースは「偽りのエース」です。チームを牽引する信頼は得られません。「勝手にやればいい」と一瞬でも思われたら全ては終わりなのです。中心となる選手がチームを崩してしまったらもう戻りません。だからこそ細かいことまで厳しく指導します。

「エースとしての自覚」は自分に対してどこまでも厳しくなることです。ほんの少しの妥協が信頼を失うということを理解しておかなければいけない。チームメイトの前で「弱さ」や「甘さ」を見せることはできません。辛い立場であるのは間違いないですが、ここは大きなポイントになると思います。絶対的なエースが「ダメかもしれない」と言えばチームメイトは「これは勝てない」と感じるのです。エースが甘さを見せれば「自分も少しくらい良いだろう」という感情が芽生えます。間違いなくマイナスですね。どんなに苦しい状況でも「絶対に勝つ」と思って取り組める者でなければいけないのです。インターハイに届かなかった中国の決勝、準決勝が終わった時点でかなり厳しくなっていました。予定していたメンバーが予選・準決勝と気持ちの入らない走りで62秒後半かかる。急遽1年生をメンバーに入れることにしました。「賭け」です。その状態でもエースは「絶対に勝つ」と思っていました。マイルの2走で400m3位、400mH1位の選手を大幅に追い込みました。この子の「想いの強さ」は半端ではありませんでした。通常考えたらそこまでは追えません。それでもここまでできるのは「エースとしての自覚」を持って毎日を過ごしてきたからです。本当に強かった。だから他の者も「絶対に勝てる」と信じて走ることができるのです。エースの存在感は大きい。

最後のステップはエースが周りの力を引き上げるということです。エースだけが強いチームは長続きしません。その選手が抜けてしまえば元に戻るからです。エースは周りの選手を強くする責任があるのです。「エースは特別」ではなく、エースに勝とうと貪欲に取り組めるようなチーム状態にしないといけない。「勝てなくても仕方ない」とチームメイトが思えばそれで成長は止まる。チーム内に競争が生まれない限りは本当の「強さ」は生まれないのです。エースに勝つんだという強い想いを持って取り組んでいくことで全体のレベルが上がるのです。それはエースからの声かけも大きな意味を持ちます。周りを強くするためにどれだけチームメイトとプラスの方向で関わることができるかです。大きな責任があります。

キャプテンとエースの両方が上手くかみ合えばチームは大幅な成長を見せます。もう一度チームを戦えるところまで持って行きたいと想っています。そのためには労力はかかっても核になる選手を育てていくことが大事です。強い者が集まってきたから戦えるのではない。高い志を持てるようになるから強くなるのです。しっかりとしたチームを作っていきたいですね。これからです。
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チーム作りのために~キャプテンの責任~

2011-07-01 | 陸上競技
ここ最近強く思うことはチーム作りのためにはある程度必要条件があると思います。誰もが同じようにやっていてチームができるのかというと違うかもしれませんが、私の指導スタイルであればやはりある一定の「共通部分」があります。ここが2つクリアできれば間違いなくチームは成立します。1つだけでも一定水準以上のチームができると思いますができれば2つきちんとした形でクリアできたらと思っています。

まずはキャプテンに責任を与えることだと思います。集団を統率する中心になる選手がしっかりできればチームはある程度の求心力を持ちます。そのためには他の誰よりもきちんとした行動を要求されますし、自分さえ良ければ・・・という考えを捨て去らなければいけません。簡単なことではありませんが甘えを許さずにこれを徹底していくことでチームはまとまり始めます。

私が学生時代キャプテンだったとき部員は100人以上いました。これをまとめるのは本当に大変な作業です。これだけ多ければ私のやり方に不満を感じる者もいます。「kanekoが勝手に」という発言は常にありました。それくらいで挫けていては先には進みません。誰のやり方が正しいかなんていうのは分からないものです。この頃は短距離と長距離はほぼ別行動でしたから長距離からすれば「短距離からキャプテンが選ばれた」ということに対しても嫌な気持ちは残っていたと思います。。それでも自ら動くということは止めませんでした。競技場には一番最初に出てとにかく草抜きと石拾いを行う。練習終了後は毎日のように仲間と食事に行く。徹底してコミュニケーションを図るようにしていました。同学年の短距離はほとんどおらず、4人の内2人は理学部でなかなか練習時間に来れない。1人は工学部で練習場所は宇部。基本的に1人でやっていかなければいけない状態でした。良い後輩に恵まれましたから何とかやっていくことができたと思います。キャプテンとしての「責任」を感じながら自分にできることを全力でやっていくことしかできませんでした。

うちのチームが初めて中国大会に進んだときのキャプテン、入学当初から女子1人でした。あとは素人の男子軍団(笑)。1年生の時にはなかなか競技に目が向かず、走り込みの日には休むということも多々ありました。あの状況で女子1人でやるというのは大変なことです。この頃は私も「目指すチーム」というよりはきちんとした形を作るというのが最優先でしたから「辞めてしまえ」とは言いませんでした(笑)。その中で2年生になり後輩ができて大きく成長しました。入部当初は100mが16秒台でしたが何とかかんとか秋には400mで県新人の準決勝に残るレベルまで来ていました。冬期練習を順調に消化していきこのままいけばかなり良いところまでいけるだろうという手応えを感じていました。後輩ができて「自分がしっかりとやらなければ」という感覚が芽生えたのだと思います。しかし、春先に原因不明のめまいで入院、「競技はやってはいけない」と言われました。本人は泣き崩れていましたが、「走れないならマネージャーになってでも中国大会に行きたい」と全力でサポートしてくれました。少しずつ走り始めいつの間にか選手復帰。支部大会で64秒台で8位となり県総体には進めませんでしたが、「リレーで中国へ」という強い「想い」を持ってやってくれていました。普通なら個人で狙っていて上手くいかなければ落ち込んで周りに気を遣わせるのですが、この子は気丈に前だけを向いていました。結果、この子を中心にして奇跡的に県総体で6位に入り初めての中国大会出場を果たしました。何もないところからでもキャプテンが成長して周りに気を配りながらやっていけば「チーム」の基礎はできるのです。この時はチーム作りの要素である「キャプテン」しかいませんでしたからその後大崩するのですが・・・。

キャプテンが周りを見ながら他の選手と関われるようになるとチームは大きく変わります。うちが「本当に良いチームだ」と言われていた数年間、キャプテンがチームを支えていました。どこへ出しても恥ずかしくないキャプテンだったと思います。どちらかというと「やりすぎる」くらい一生懸命に練習に取り組む。チーム内では自分よりも速い選手が何人もいますがそこで諦めずに「絶対に強くなってやる」という姿勢を示し続けました。これは2人に共通する部分ですね。普通考えれば周りが速くなると焦って自分のことしか考えられなくなりますが、どんな状態でも周りに気を配り「チーム」を作ることを考えてきました。特に私から言われたことはどんな状態になってもやり通す。絶対にやってやるんだという強い「想い」があったと思います。この姿を周りの選手が見て「自分もやらなければ」と思うのだと思います。
初めて本気でインターハイを狙った年、前も書きましたが「エース」が故障でマイルメンバーの選考会に出ることができませんでした。残りの5人を決めるときに選考会で漏れたのは当時のキャプテンでした。マイルメンバーに名前が入らないということはこの子達にとって本当に大きな事です。涙を流していましたがそれを受け入れてくれました。もちろん、これでマイルを走ることを諦めたのではなく「絶対にメンバーに入ってやる」という気持ちが強くなったと思います。これからの取り組む姿はやはりチームを大きく成長させたと思います。キャプテンは「精神的な支え」であり、「取り組む姿勢の手本」でなければいけないと思います。これができるときは間違いなくチーム全体の取り組む姿勢は変わります。

キャプテンは周囲から注目を浴びます。行動の一つ一つを見られているのです。できていない選手には厳しく注意をしなければいけません。周りからどう思われるかを気にしていたら注意はできません。自分の行動がきちんとしてれば注意を受けても他の選手は素直に従います。ここで素直になれない選手は伸びません。キャプテンが適当にやっていて注意だけするというのでは人は付いてきません。自分の責任をしっかり果たしてから周囲に指示を出したり注意をするのであれば誰もが従います。そういうチームでなければ戦っていけないと思います。キャプテンは指導者の言うことを誰よりも理解し、誰よりも行動で示せるようにならなければいけません。大きな責任を背負っていると思います。キャプテンは誰よりも成長していきます。過去がどうであれキャプテンとしての役割与えられた瞬間から生まれ変わって取り組めるかどうかだと思います。

役割は人を作ると思います。責任を感じながら取り組むことで大きく変わっていきます。私が求めるようなキャプテンが育てばチームは大きく成長すると思っています。「取り組む姿勢で引っ張る」というのが基本になります。決して手を抜かず全力で取り組む事で周りの選手の「心」を動かすことができる存在でなければいけません。大きな要素です。

もう一つの要素、それは「エース」の存在だと思います。これは別に書きます。
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