本書は、偶然本屋で見つけた。鎌倉関係の本は、たくさんあるが、写真の綺麗さと、文の平易さに惹かれた。
著者は、鎌倉在住で、古都を中心に撮影活動を続けている写真家ということで、鎌倉の美のポイントをついた美しい写真で、埋め尽くされている。
有名な寺院は、ほぼカバーされ、あまり目に触れない仏像も、綺麗にクローズアップで掲載されている。中には、61年に一度しか開帳されない秘仏も含まれており貴重だ。
鎌倉は、残念ながら、ユネスコ世界遺産の選に漏れてしまっている。日本の古都、初めての武士政権、禅の最盛期の寺院群ということで、世界遺産に選ばれる価値は十分にあると思うのだが、残念ながら、当時の建物や仏像が、そのまま残っているケースは少ない。
新田義貞が、鎌倉幕府を倒し、その後、足利尊氏が、都を京に移したから、鎌倉はさびれてしまった。
江戸時代になって、また復興はしてきたものの、かつての建物は、ほとんど残っておらず、再建や、移築によって、寺院群を復興した。
ただ、本書を見ると、鎌倉の良さは、十分伝わるし、仏像群でも、奈良京都には及ばずとも、違う時代の、すばらしい仏像が多く残されていることがわかる。
散歩コース毎に編集されているため、ガイドブックとしても使える。
鎌倉は、さんざん行っているが、まだ、天園ハイキングコースは行ったことがないので、いい季節に、本書を片手に巡ってみたい。
鎌倉ファンにはもちろん、写真愛好家にもお勧めできる良書。