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ビートルズ本がまた出た。今回は、英文学の教授によるもの。
ご本人、ビートルスなんかより、クラッシク好き。
でも、ファンクラブに入ったりして???
新たな切り口の、すばらしい分析本と評したい。
音楽からの切り口、歌詞からの切り口の本は、結構あるが、イギリスの、当時の庶民文化からの切り口の本というのは、そうないのではないか。
イギリス人にとっては、当たり前の共有記憶の中かもしれないし、海外の人にとってはまったくあずかり知らぬことかもしれない。
著者は、その専門的知識を駆使し、当時のイギリスの風潮を、リアルに描きだし、ビートルズという文化が生まれた背景を描いた。
その内、どれくらいが、真実なのかは、神のみぞ知る。ただ、当時のイギリスの雰囲気を体感していない私にとっては、かなり新鮮だし、著者が私より、若干若いということも、びっくり。
著者は、ミドルブラウという言葉を多用する。ビートルズの面々は、労働者階級出身を強調するが、実態は、中流に属していたと分析し、戦後10年ぐらいたったイギリスのミドルブラウ文化の中心になっていったという考えだ。
日本でも、総中流時代という言葉があったが、その10年以上前に、イギリスでその状況が現出し、その中で、ビートルズは、ファンを拡大していった。
確かに労働者階級のままでは、これだけの支持は得られなかったか?
ビートルズファンではないとおっしゃるだけあって、思い切った発言も多い。ビートルズの実質最後の(元の)アルバムタイトルであるゲットバックは、洋子さんに対するメッセージと説く。
流石に、そこまで言い切ることは差し控えたいが、PMに、当時そういう気持ちがあったとしても、否定しきれないかも。
”ばらばらにそろっている”という形容詞も多様される。言い得て妙。まさに!!
イギリス人の同世代の方々に、どう受け止められるのかはわからないが、日本人がビートルズを理解しようとする時、押さえておかなかればいけない一冊となるかもしれない。