
本書は、正直驚いた。
シュリーマンは、幼少時からファンで、大いなる影響を受けたし、大学受験の面接で、尊敬している人にあげたぐらいだ。
当時は、多くの言語を操る実業家で、トロイを発見した人というイメージだった。
新聞で、シュリーマンの日本滞在時の本が出るという記事を見つけ(その本はまだ出ていない)、検索したら本書が見つかった次第。
明治維新の前、外国人が日本に住みだした時にシュリーマンは、日本を訪れ、横浜をベースに、江戸や八王子を旅していて、その記録が本書だ。
本書は、清国から始まり、日本に来て、太平洋航路でサンフランシスコに着くまでをカバーしているが、書いたのは、太平洋航路を船旅中だったらしい。
その割には、極めて精緻、かつ客観的。ここまで、きっちり記録してくれた人はいないと思う。
庶民の生活レベルの高さと、性へのおおらかさ、幕府の横暴さなど、驚きの目で、語っていて、思わず頷いてしまう。
その前の清国の記録は、退廃的な様子に呆れた様子が描かれていて、対象的だ。ただ、万里の長城を訪れた時の驚きを隠してはいない。
帰国後数年して、シュリーマンは、トロイを発掘する。
引き続き、尊敬する人である。

今日の桜。