9月9日、ゾロ目の日のランチタイムを迎えました。
11期生小林です。
今日は私にとって特別な日です。何が特別かというと自分の企画が花開く日なのです。ここに来るまで大変な思いをしましたが勉強することも多かったです。協力いただいた多くの方に感謝したいです。「ありがとーーーうっ」
さて、本日は仕事上の経験から1つ、中小企業の財務分析のお話しをさせていただきます。
営業管理系部署にいた時に「診断士なんだから何かできんだろっ」とのことで、取引先の財務分析を担当していました。財務分析がメイン業務のはずでしたが、他の業務に忙殺され結果的には片手間に分析をしている状態でした。それでも担当していた1年間で、80社ほど経営分析を経験いたしました。ほぼ全てが中小企業でした。
分析をする中で特に感じたのは「経営分析指標は意味をなさないことが多い」と言うことです。
(業種に偏りがありましたが、中小企業全般にも言えそうなことのように思います)
例えば、こんな損益計算書がありました。デフォルメしてますが、実際にあったケースです。
仮にA社としましょう。
2期の指標を比較した場合、「売上高は低下しているが、一定の利益は確保できている」。「まー問題なさそうかな~」なんてあたりをつけてしまいそうです。
ところがどっこいなのです。
■まず売上高。図は10%の減収となっています。
A社は顧客への納期が3ヶ月程度のため納品までの間受け取った代金を前受金(負債)に計上していました。売上の3ヶ月分程度前受金を計上しているのが常でしたが、前期においては売上の2ヶ月分程度に低下していました。確認したところ売上不足を補うため納品前でも売上に計上していることが判明したのです。
■次に売上総利益(原価)。図では売上総利益率が80→83%に高まっています。売上が減れば、仕入面では不利になり総利益率は低下しそうなものだが、、、。価格を引き上げた?
A社では、下図のようにメーカー → 仕入会社(A社の関連会社) → 販売会社(A社)というように商品が流通していました。関連会社からの仕入単価が低下してたのです。A社の利益を確保するために関連会社が犠牲になっているだけであり、A社の信用度を測る上ではマイナス要素としてみる必要があります。
■そして営業利益です。図では営業利益率が2.5%→2.2%に低下しています。
販管費の内訳を比較してみるとどうでしょうか。役員報酬額、接待交際費が大幅に減少しています。減価償却費に至ってはナシ?!といった状況です。実態は営業赤字では?!
役員報酬、交際費を削減することは当然粉飾にはあたりません。しかし、中小企業の場合、社長の財産と会社の財産は一体のようなものです。そのような中で社長の報酬(交際費もある種報酬に近い)が減るという事は会社の利益が減ったとみても差し支えないように思います。
また、通常、減価償却費は法定割合に応じて償却を行いますが、中小企業の場合税法上償却は任意です。償却額はいくらでも構わないのです。ちゃんと償却した前々期と前期を単純に比較するわけにもいかなそうですね。
分析指標にはあらわれていませんが、じっくり診てみると本質的な収益力は大きく低下していることがわかります。
このような収益、費用の調整は軽度のものから粉飾にあたるものまでいろいろなパターンがあります。
例えそれが明らかな粉飾であっても納税額を増やす(または減らさない)粉飾であれば、税務署からお咎めはありません。金融機関、取引先から疑われる、、、と言うようなことはあるかもしれませんが。
ということで、私が財務分析をするにあたっては、
・中小企業の決算書の特徴を理解したうえで、調整があるという前提で科目ごと確認をする(経営指標は参考にとどめる)
・役員(関連会社)を一体と捉え本質的な収益性、安全性を診る
ということを強く意識しておりました。
うん、締りがないですが、本日はこの辺で。