皆さん、今晩は。才村です。
今回は、ユニクロと比較して、しまむらを取り上げます。薄いピンク色の地に赤色と濃いピンク色のラインが特徴的な建物の「ファッションセンターしまむら」は、私が約20年前に現在地に引っ越してきた時からありました。以前、衣料品を何回か買いましたが、ユニクロに次ぐ国内第二位の売上高を誇る高収益企業とは知りませんでした。今や、国内のどこに行っても、あのピンク色の建物が目に入るのには驚かせられます。ターゲット顧客を明確にし、その顧客に合った価値を、独自の方法で提供すれば、昔からある事業分野の企業でも成功できることを示している例だと考えました。
ユニクロとの相違点
1.しまむらは、地方の主婦をターゲット顧客に、衣料品のおしゃれ感ではなく、実用性や低価格をポイントにして成長してきた。
他方、ユニクロは、現時点では、若者をターゲット顧客の中心にしている。
⇒確かに、しまむらに行くと子ども連れの若い主婦や年配の主婦が目立ちます。これらの人たちは、様々な安い日用衣料品を求めているので、しまむらの提供する安価な多品種の衣料品という価値とぴったり合っています(昨日、サンダルを買いに行ったのですが、安いけれどデザインが今一の中国製しかなく買うのを止めました。私はターゲット顧客でないのかもしれませんが、値段がちょっと高くても、センスの良い商品も置いてほしいのが私の本音です)。しまむらのチラシのモデルは、ミセス+若い女性であって、30円安い¥○○70と上手にお買い得感を出しているところが面白い点です。
ユニクロは、おしゃれで高機能な衣料品というイメージがあります。ユニクロのチラシのモデルは若い男女なのはいいのですが、10円しか安くない¥○○90のやたら大きな文字が目に付くので、もっと上品にと言いたいところです。
2.しまむらは、従来型の問屋やメーカーから調達する仕入型であり、バリエーション豊富な商品を揃えて1店舗での販売数量を限定して販売する多品種少量販売をしてきた。また、欠品や機会ロスも平気で、売り切れれば同じ商品でなく、別の商品を店頭に並べている。
他方、ユニクロは、典型的なSPA手法で、絞り込んだ商品を大量に販売する小品種大量販売という手法である。
⇒SPA手法でユニクロが躍進すると、衣料品の分野ではそれ以外の高収益の手法はないのではないかと思いました。ところが、しまむらは、強引な返品や赤黒(価格を下げた再納入)といった取引先に負担を掛ける行為を徹底的に排除し、取引先からの信頼を得ているそうです。その結果、取引先はしまむらに優先的に高品質な商品を提供しているとのことであり、仕入型も会社によっては有効なようです。
3.しまむらは、町の郊外に立地している。郊外だと、賃料が安いし、中堅スーパーや商店街の衣料品店に警戒感を抱かせない。また、派手に知名度を上げて大手スーパーを刺激することがないよう、マスコミへの露出度が大きくない。
他方、ユニクロは、最近は中心街の一等地に出店している。柳井社長は書籍を出したり雑誌の取材を受けたりしている。
⇒確かに私の近所の2カ所のしまむらもロードサイド店ですが、商店街から離れています。また、しまむらの野中社長がどんな人なのかよく知りません。最近、TV東京でニューヨークの巨大な高賃料の5番街店開店が取り上げられていました。ヒートテック中心の品揃えということで、冬の寒いニューヨークではよく売れそうです。
4.しまむらは、不況下でも売上高と経常利益を右肩上がりに伸ばしている。
他方、ユニクロは、急進的でダイナミックな経営であり、売上高が急拡大、急低下することがある。
⇒あるコンサルタントから教わった内容ですが、次の数値のように、粗利はユニクロのファーストリテイリングが優れていますが、販管費比率と棚卸資産回転率はしまむらのほうが優れていることが、しまむらの強み(徹底したローコスト経営)を表しています。
○ファーストリテイリング(H21年8月期)売上高総利益率49.9%、販管費比率34.0%、棚卸資産回転率10.7回
○しまむら(H22年2月期) 売上高総利益率32.0%、販管費比率23.4%、棚卸資産回転率13.8回
現在の売上高、経常利益は、ファーストリテイリング(H23年8月期)8203億円、1070億円、しまむら(H23年2月期)4401億円、410億円と約2~3倍になっています。やはり柳井社長の魅力ある商品を開発し売れるときに目一杯売り切るというリスクを取った経営の方が業容拡大には有効のようです。