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相関分析は仕事でどう使えるのか?

2011-10-24 00:04:54 | 11期生のブログリレー

こんにちは、矢本です。

今日はは相関分析の事例をご紹介してみたいと思います。
以前相関分析の記事を書いたときに、実例でどう使われるかのご質問があったので。
私自身はまあまあ使える分析だと思っています。


1.テーマ

住宅素材メーカー(主に北米向け)が投資判断の参考にしたいので
「今後の北米住宅重要の見通しはどうか?」と質問を受けた。8月ころ。

2.背景

・最大顧客である米国会社は弱気と強気の見通しが混在。
・しかし、エコノミストの需要の見通しは悲観的。米国消費者の購買意向を示す指標は以下のとおりなので。
・よって、社長は現在さらに米国向けに投資をすることには懐疑的。

根拠のグラフ(横軸は年、縦軸は指数・つまり購買意向の強さ)




3.分析

1)住宅の購買意向はどうか?

品目ごとの購買意向のデータがあるので、住宅を調べてみたら、住宅の購買予想は全くトレンドが違っている!。 
購買意向が急伸している。リーマンショック後に回復して急上昇を示している。購入意向は復活している!

北米は景気が悪いと言われているのに、これはほんとうだろうか?



2)本当にそうか?

a)住宅と同様の購買意向を示すものはないか?共通する特徴はないか?

まず、消費者の購買意向は28品目ありますので、住宅の購買意向と同様の傾向のものがないか調べます。
すると、商品のなかでは自動車の購買意向が類似(相関係数は0.61)。以下のグラフのように。

・・・どちらも耐久消費財(大きな買い物)。つまり米国消費者は大きな買い物をしたいと思っている?




b)根拠となる指標はないか、理由を想定できないか?

ここも相関係数の出番。
入手できる全ての統計指標(GDP、経済指標、物価指数、販売統計など)4000以上と住宅の購買意向との相関を見る。
相関のプログラムを利用すれば計算は可能。その中で一番相関が高かった(相関係数約0.6以上)ものは、やはり所得! 

つまり、所得が伸びてきたので、住宅などを買いたくなるという、経済の教科書通りの結果がでています。
(この図では自営業個人所得と住宅のグラフを重ねています)

→ やはりこれは個人所得が上昇し、住宅の購買意向も急上昇している(教科書どおり)と解釈すべきでしょう。
   実際にも、所得推移と住宅購買意向を3カ月ずらすともっとも相関係数が高くなります(0.62に増大)




3.結論

消費者の購買意向は冷えているが、住宅など耐久消費財の購買意向は回復している。
自営業者の所得の伸びが背景にある。よって、強気の見通しでも間違っていないと思われる。

つまり、北米の消費意向の回復の兆しが見えていた!いうことです。

(ただし8月以降は、米国債の格下げ、欧州金融不安などがありますので、また別な傾向ですからご注意を!)


4.知見

全体の動向の話と、個別商品の動向が正反対を示していることすらある。
だからデータソースを当たることはやはり大切。手間がかかるが、世間の経済記事のはあまりにマクロなので仕方なし。
そして、同じような傾向を示しているものを把握する(相関分析する)と、ある程度仮説が見えてくる。


今回は相関分析の実例のご紹介でした。

PEST分析や、業界動向の分析などには使えます。仮説形成にちょっとお薦めの分析です。

 

コメント (1)
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