こんにちは、14期生の加藤敏幸です。
本日は、第3周目のブログリレーになります。
最後までお付き合いいただければ、幸いです。
本日は、2014年6月4日付け日経MJ(15面)より、「江崎グリコ」を取り上げます。
■江崎グリコの自動販売機専用アイスクリーム「セブンティーンアイス」は、「17歳に17種類のアイスクリーム」をコンセプトとして、1985年に本格的に販売を始めた。現在は約2万台を展開し、年間売上高は100億円。「パピコ」「ジャイアントコーン」と並ぶグリコの主力アイスブランドに成長した。
■自販機は価格競争に巻き込まれにくく利益率も高いことから、ロッテアイスやハーゲンダッツジャパンなどもアイス自販機を展開している。このように競合ひしめくなか、グリコは同分野で約7割のシェアを誇る。
少し、マクロ的な見方を。
アイスクリームの市場規模って、どれくらいなのでしょうね。
日本アイスクリーム協会
https://www.icecream.or.jp/data/type.html
によりますと、2012年度で4,181億円です。2003年度が3,322億円ですから、かなり伸びている戦場といえます。ただし、この数字は恐らく出荷ベースでしょうから、小売ベースで考えるともう少し数字が膨らみそうです。
確かに、大きな市場規模です。でも、結局のところ、
・金曜日の夜、家で「今週お疲れ様」と自分へのご褒美に
・休日の昼下がり、家族みんなでおやつに
・スポーツジムの帰りに、コンビニで買って歩きながら
・部活の帰りに、仲間とワイワイかじりながら
という感じで、様々な人の様々なTPOの積み重ねの結果が、「4,000億円市場」になっているのでしょうね。
そこで、「様々な人の様々なTPOの積み重ね」を認識していたグリコは、アイスを食べる新しい「売り場」を提案して新しい「TPO」を実現するために「セブンティーンアイス」の拡販を行ったのではないでしょうか。結果、お客様に受け入れられて売上100億円ですから、大成功ですよね。
同様の考え方で「新しいTPO」を実現したのが、ドミノ・ピザです。
http://www.dominos.jp/smartphone/index.html
お花見をしている場所までピザを届ける、という「お花見ピザ」です。これも新しい「売り場」を提案して新しい「TPO」を実現した例になります。
よく、「競合のいない空白の戦場を探せ」と言われます。最近はあまり聞かなくなりましたが、「ブルーオーシャン」ってやつですね。でも、いざ探そうとすると、極めて難しいです。
でも、
・お客様のニーズは存在する
・そこに「売り場」(商品・サービスの入手手段)が存在しない
というとき、それは「空白の戦場」になりそうです。「欲しいんだけど、買えない」という状況のときに「空白の戦場」が存在する、ということです。
セブンティーンアイスの自販機は、そのような「空白の戦場」も狙っていたのかもしれません。今となっては評論家的に何とでも言えますが、当時は相当考えられたのでしょうね。すごい、の一言です。
グリコのWebサイトによれば、自販機を設置している場所(「セブンティーンスポット」というそうです)は、このような場所らしいです。
http://www.glico.co.jp/ice/17ice/17spot.html
・スーパー銭湯
・ゲームセンター
・スイミングスクール
・ボウリング場
・高速サービスエリア
・公共スポーツ施設
・遊園地
「喉が渇いた。アイス食べたい。でも近くに店はない。」という状況では、「他の選択肢」(=競合)がないわけですから、「ここにある自販機で買おうか」、となりますよね。
「ニーズはあるのに売り場が無い」という「空白の戦場」、そこには大きなチャンスがありそうです。そのようなことを瞬時に判断して経営者に助言できる経営コンサルタントを目指したいものです。