今日の朝刊に、社会保険労務士に対する懲戒処分の記事がありました。
「愛知県の男性社会保険労務士が『モンスター社員解雇のノウハウをご紹介』と題したブログを開設した問題で、厚生労働省は4日、社労士の言い分を聞く聴聞を名古屋市で実施し、3カ月の業務停止処分にする方針を明らかにした。社会保険労務士法は、社労士にふさわしくない重大な非行があった場合に、厚労相が懲戒処分にできると規定。」2016年2月5日付日本経済新聞39面。
社労士のブログを見た人がSNSで拡散したことで大問題になった一件です。
既にブログは閉鎖されていますが、「問題社員をうつ病にり患させて退職に追い込むのはどうしたらよいか?」といったことが書かれてありました。
こうした処分は前代未聞だそうです。ブログの内容からは「社労士にふさわしくない重大な非行があった場合」と認定するのもやむを得ないのでしょう。
ふと、「中小企業診断士が同じことをやったらどうなるか?」と思い、関連法令を見てみました。
「中小企業診断士の登録等及び試験に関する規則」の第6条は、一定の事由があった場合、経済産業大臣は登録を取り消すとあります。具体的な事由は8つあります(第5条)。
社労士の一件との関連では、「前各号に掲げるもののほか、中小企業診断士の信用を傷つけるような行為をした者であって、その行為をしたと認められる日から3年を経過しないもの」が該当しそうです。
ただ、懲戒処分を経ずに(上記規則に規定はなし)、いきなり登録取消しということは、通常は考えにくいかもしれません。
中小企業診断士は独占業務が与えられるわけでもないのに、他の士業と同様の規制があるのは厳しいようにも感じますが、国が認定する資格が持つ重みがあるのでしょう。
今回の一件は、お客様にコンプライアンスを説く前に、自らを律しないといけないことを気付かせてくれました。
なお、取消事由の1つに「禁固以上の刑に処せられた者であって、その執行を終わり、又は執行を受けることがなくなった日から3年を経過しないもの」があります。
重大な交通事故を起こして起訴されたとします。罰金で済まずに禁固刑となった場合、執行猶予がついても取消事由に該当します。
ほんの一瞬の不注意で資格を失うこともあるので、日常生活を送る上でも注意が必要です。