本日は、マーケティングマイオピアについてお話をしたいと思います。
会社は自社の事業をどのように定義するかにより、その後の企業の事業展開が変わってくる、とされます。
もう少し詳しく言えば、どう定義するかによって、その企業あるいは事業が成功するかいなかや、企業の寿命が違ってきます。
このことについて、T.レビット氏は
「事業をその製品自体あるいはモノ自体で定義することはまさにマイオピア (近視眼) であって、避けるべきである」ことを説きました。
企業や事業を成長させたいのであれば、事業や製品そのもので定義するのではなく、
その代わりに、その製品やサービスが果たす機能・ベネフィットや、
顧客がその製品やサービスに期待する意味・目的によって事業を定義すべきだとしています。
具体例をみてみましょう。例えば、「4分の1インチ・ドリル」の製造メーカーがあるとしたら、自
身の企業の事業を「4分の1インチ・ドリル事業」として定義するのではなく、
「4分の1の穴を顧客にあけさせる事業」と定義すべき、ということになります。
なぜなら、実際に顧客が必要もしくは期待しているのは「4分の1インチのドリル」そのものではなく、
ドリルを使うことによってあけられる4分の1インチの「穴」だからです。
また、このように、顧客がその製品やサービスに対して何を期待しているのかをベースにして事業を捉えることが、
顧客志向となります。そのような志向をすることで、激しい環境変化、顧客ニーズの多様化、競合の参入、
そして技術代替などの大きい波に耐えることができ、継続的に企業成長ができるようになります。
他の例では、鉄道ではなく「輸送」、映画ではなくエンタテインメント、石油ではなく「エネルギー」といった事業定義の転換などがわかりやすいですね。
最近では、トヨタとソフトバンクが新会社を作りましたが、
トヨタが自社の定義を「自動車」ではなく「モビリティ事業」に転換する象徴的な動きですね。
お客様が求めているには自動車ではなく、快適に移動するサービスであり、そのサービスを強化するには
ソフトバンクのAI技術が必要になってきたことになります。
10年前はトヨタの競合がグーグルになったり、パートナーがソフトバンクになるなんて、
想像もつきませんでした。
先が読めない面白い時代であり、恐ろしい時代です。