稼プロの関係者の皆様。18期の市原です。
前回、商品・サービスの開発・改良とかなり具体的な話となりました。今回は、そこでも触れていた「カスタマージャーニー」の話をしたいと思います。
カスタマージャーニーはご存知でしょうか。言葉として流行ったのは、5年ほど前からだと思います。顧客と企業との取引体験等を時系列で一つにまとめたもので、一連の体験を、旅に例えたことから、カスタマージャーニーと呼ばれています。
では、なぜこのジャーニーが注目されたのでしょうか?
一つに組織形態があります。企業の多くは、機能別組織になっています。製造業なら、購買や調達が資源を獲得し、製造、販売、アフターとビジネスフローに沿って組織化されています。一方、顧客(消費者)は、販売部門とだけ取引するわけではありません。当然、製品を媒介としアフター部門とも取引がありますし、様々な形の顧客の声が開発につながっています。顧客は、商品・製品を媒介に、企業と様々な取引を行っているのです。ただし、多くの企業は、顧客を組織ごとに管理しています。その結果、各組織は、断片的にしか顧客を理解できない状況にあります。企業の都合で、顧客(体験)をばらばらにしてしまっている、これが実態です。
上記を受け、組織全体での課題発見や改善を検討するために、ジャーニーが作成されます。一般的なジャーニー作成・活用は、ググるとイメージが得られます。語り手によって、顧客体験の範囲と施策等が、多少異なっています。しかし、目的とする体験設計ができれば、細かな違いは気にしなくて良いと考えます。一度、各サイトを斜め読みしてください。
今回強調したいことは、組織横断でジャーニーを検討することが組織連携にもつながる、という点です。先ほど触れたように、組織がつくられるとその中で最適化が進み、結果的に組織の壁が生まれてしまいます。この最適化した組織は、個別組織に問題がないことも多く、全体の非効率の原因を他組織に求める傾向があります。これらが壁につながります。この壁に扉を作る、そこにもワークセッション形式のジャーニーの作成は、効果を発揮します。この目的につなげるためにも、様々に壁を持つ組織から参加者を集め、協力してジャーニーを描きます。これによって、組織相互間の連携に課題がある、または連携の促進がより良いサービス提供につながる、これらに主体的に気付くことになります。これはジャーニー作成の副産物ですが、非常に有効です。
事業改善には、組織改善が欠かせないことが、多々あります。しかし、組織文化は簡単には改善できません。事業の改善施策を作ると同時に、組織に気付きを与えるきっかけになる、それがカスタマージャーニーなのです。