20期生のヨシです。
今回はイノベーションについての本を紹介します。
先日、大学時代の友人と話をする機会がありました。ともに経済学部であったこと、また、友人が長らく証券業界に身を置いていたこともあり、現在の株高の話からはじまって、コロナ禍後の資本主義がどうなっていくのか、と、ちょっと大きいことを語り合いました。そこで話題になったのが「イノベーション」です。“日本の成長のためには「イノベーション」が欠かせない”と良く言われるものの、「イノベーション」ってどうやって起こせるのか、お金を注ぎ込めばできるのかしら、でも何か違う感じだよね、と語り合いました。
「イノベーション」をインターネットで調べると、米ブルームバーグ通信は毎年国別のイノベーション指数(Innovation Index)を発表しており、研究開発投資額、ハイテク上場企業集中度、高等教育の生産性などを基準に国別ランキングが作成されています(2021年首位韓国、日本12位、米国は11位)。投資額もランキング作成の基礎データであることから、「イノベーション」を起こす重要な要素であるのは間違いないです。が、それだけでは不十分な気がしておりました。
そんな折、手にしたのが「人類とイノベーション マット・リドレー著 大田直子氏訳:㈱ニューズピックス社」でした。筆者によれば、「イノベーション」は、ゆるやかなものであって、突然生まれるのではなく、また、多くの人による自由と失敗で進化するもの、としております。その例として原子力発電があげられており、失敗がゆるされないことが「イノベーション」が原子力発電技術で生まれにくい理由との説明には、納得感があります。
また、国がお金をかけても「イノベーション」がおきるわけでは無く、企業国家の例としてあげられがちな日本も、1950~99年の日本の国の科学教育への資金提供は50%未満で、平均的なOECD 諸国とは差がありイノベーションは零細企業から起こったこと、更に、かつてのソ連は企業国家のはっきりとした事例であるが、軍事以外の分野では悲惨なほどイノベーションは起きなかった、としており、国が予算をかければ良い訳では無いようです。
筆者は、「イノベーション」は自由から生まれるものであり、自由に表現された人間の願望を満足させようとする、自由で独創的な試みとしています。「イノベーション」は計画しにくい理由は、人間の望みもものであり、それを満足させる手段も、求められる細部までは容易に予測できないことを理由にあげており、このことは、冒頭の友人と私の疑問に対し、大変示唆に富んでいると感じました。
同著は、様々な分野における実際のイノベーションの事例も豊富に載っており大変楽しく読める内容となっております。是非一読をおすすめいたします。
最後までお読みいただき、ありがとうございました。
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