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フランチャイジーになると言われて

2021-05-25 12:00:00 | 20期生のブログリレー

こんにちは。稼プロ!20期生のながいち!です。

 

何度かお話をする機会のあった社長さんに、既存事業とは関係のないフランチャイズ・チェーンに入るつもりと言われ、どうコメントしたらよいか悩んだという話を書きます。

 

その企業は、ものづくりと情報処理を合わせたような事業を営んでおり、従業員はパートを入れて6名。

主力商品の技術が代替技術に取って代わられて市場が縮小し、競合が減るなかで「残り福」的な需要をつかんでいるものの業績はジリ貧状態の企業でした。

既存事業の技術や販売ルートを活かした周辺事業に挑戦してこられたのですが、それぞれが小粒。主力商品の落ち込みをカバーするのは難しそうな状況でした。

また、売上高減少を補うため、東京オリンピックを契機とする外国人観光客の増加を当て込んで民泊用の中古不動産を準備されていたのですが、コロナ禍により計画は頓挫。

社長がおっしゃったのは、副業として買取り専門・古物商の全国チェーンのフランチャイジーになる計画でした。

しかも、既に準備中とのお話でした。

 

診断士が事業の方向性を提案する場合、通常は企業がもつ既存の強みと機会をマッチングさせた展開の提案になります。

リユース市場は伸びており、確かに機会はありそうでした。

一方、強みとして買取り専門の古物商となるために使えるのは次の3点くらい。

 1.古物商の店舗として使える事務所の部屋があること

 2.鉄道駅から徒歩圏内であること

 3.社長が話し上手であり、フットワークが良いこと

長い時間をかけ本業で培ってきたノウハウ、顧客リスト等、知的資産は使えません。

診断士としての仕事は、企業自身が気付いていない強みを発見し、事業のドメインを設定し、提供する価値を定義づけることでしょう。

しかし、フランチャイズ・チェーンに入るとなると、当該事業に関する強みは、フランチャイザーの事業に必要な要件の範囲で考えればよく、ドメインや提供する価値はフランチャイザーをフォローすればよいことになります。

診断士が頭を捻る必要はありません。

 

何となく肩透かしを食ったような気分になりながら、

(古物商のチェーンに入るのであれば初期費用は数百万円。うまくいかなかったとしても傷は深くならなのではないか)

と思いつつ「儲かるといいですね」といって、その場は別れました。

 

しばらくして、古物商を開業したとの連絡をいただき、立ち上がりの売上は順調と教えていただきました。

その後、連絡はとっていませんが継続して順調に推移することを祈るばかりです。

 

業況が厳しくなる中で、中小企業が自らの足で立つのとは逆の動きをしようとするとき、あるいは企業存続のため本業とは地続きでない多角化に乗り出そうとするとき、アドバイスを求められたらどうするのか。

診断士として力をつけないと答えられないテーマとして、考えさせられる経験でした。

 

コメント (3)
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