こんにちは。稼プロ!19期の宇野毅です。先週、「人を大切にする経営研究会」の定例会で、日本理化学工業株式会社・大山隆久社長の講演を聴かせていただきました。
日本理化学工業株式会社は、50年以上にわたり障がい者雇用に力を入れているチョーク製造販売会社です。神奈川県にある社員数91名の中小企業で、知的障がいをお持ちの方が66名、うち重度の方が25名おられます。
炭酸カルシウム製のダストレスチョークが主力製品で、国内70%以上のシェアを有しています。とはいうものの、少子化や電子化の流れで学校での黒板・チョークの利用が減ってきているため、最近は、ガラス、鏡などのツルツルした面にも書けるKitpas®(キットパス)という新製品も展開されています。
同社が、障がい者の方々を雇用するに至った経緯は、坂本光司先生が執筆された「日本でいちばん大切にしたい会社」第1巻で紹介されていますので、ご存じない方はぜひ読んでみてください。「人を大切にする経営学」の原点となった会社です。
大山社長は、先代の父親から経営を受け継いだ当初、マーケットが縮小する業界で障がい者の雇用に力を入れている危機感のない会社と感じ、会社の成長のために健常者の採用に力を入れようと考えたそうです。
しかし、日々彼らと一緒に仕事をする中で、一生懸命に働く姿、健常者にない凄さとともに、相手の理解力に合わせて教える・段取りをする企業文化が様々な工程改革を生み出していることに気が付きます。そして、これまでの先代からの歩みを理解し、実は会社が彼らに支えてもらっていたことを深く理解されたそうです。
そしてそれから、こういう会社は社会に絶対に必要であるとの信念で、「安定した、強い経営」と「皆働社会の実現」(誰もが人の役に立ち、必要とされる社会)を目指し、日々経営されているとのことでした。
同社は経営理念(ミッション)として、以下を掲げています。
『当社は、みんなの幸せが私の幸せとなるために、ものづくり、人とのご縁を通じて、私たちの自身のまこと(誠心誠意)の心を磨き続けます。
また、全従業員がつねに「相手の理解力に合わせる」という姿勢を前提とし、素直な心でお互いを受入れ、お互いを知り、理解・納得をしながら成長していくことで、物心両面の働く幸せ(役に立つ幸せ)の実現を追求していきます。
そして、一心に仕事に向き合う社員一丸となり、誰もが生きやすく、働きやすい皆働社会の実現と、安心して過ごすことができる地球を未来へつなぐことに貢献していきます。』
前年までは、経営理念の中に障がい者雇用を掲げていたそうですが、障がい者と健常者という分け隔てをなくしたいとの趣旨で、今年から表現を変更されたそうです。
また、講演の中で大山社長は、2015年から毎年、会社の年間スローガンというものを掲げているとのお話もありました。ちなみに2015年は「ありがとう(と)言える自分、言われる自分」というものです。
今回の講演をお聴きした後、自身の仕事やふだんの生活を振り返り、「まずは人として素直に、ありがとう(と)言える自分、言われる自分でありたい」とあらためて思いました。