22期の藤川豊です。
先日、WBC(ワールド・ベースボール・クラシック)が始まる直前に、「目指せ世界一!」とこのブログでも書きましたが、今回もWBCのことを書かせていただきます。
特に、劇的な逆転勝利となったメキシコとの準決勝、いつ追いつかれるかわからない緊張した展開のアメリカとの決勝戦は、本当に素晴らしい試合で、感動しました!! もう1週間が経ちましたが、まだ興奮冷めやらぬ感じです。
栗山監督以下、選手やコーチ陣がチームのことを思い、感謝の気持ちを忘れない、結束力の高いチームだったと思います。それぞれが超一流選手ではありますが、チームとしての強さの源泉は何だったのだろうかと、組織マネジメントの観点から考えてみました。
1)内発的動機付け
決勝戦にも抑え投手として登板した大谷選手ですが、栗山監督は、本人には決勝戦も投げてほしいとは言わなかったそうです。監督曰く「彼には自分の形があるので、そのスタイルを最大限活かすため、投げたいと言ってくれるのを待っていた」ということでした。選手を理解し、最大限にモチベーションを高めてもらうため、「自らの決断を待つ」という接し方が、大きな成果につながっているのではないかと思います。
2)自己実現の欲求
4番を任されてスタートした村上選手は、前半戦はチャンスに打順が回ってきても結果を出せず、途中から5番に下がっていました。終盤で徐々に調子をあげてきましたが、栗山監督は、4番に戻すことはしませんでした。理由は「彼にはもっと大きな目標を持ってもらいたい。なので、宿題を与えたほうがいいと思い5番のままにした」そうです。大会終了後、村上選手本人も、次の目標を「ずっと4番を任される選手になりたい」と、明確にセットしていましたね。
3)インフォーマルグループ
メジャーリーガーで唯一、キャンプ初日からチームに合流したのがダルビッシュ選手でした。彼が真っ先にとった行動は、選手同士でコミュニケーションが積極的にとれる「場づくり」でした。「まず、楽しくやろう!」とだけ考えて、食事会も開催しながら、グラウンド外での関係性も進んでつくっていました。SNSの写真をみても、選手みんながとてもいい笑顔で、関係性の良さを感じました。
4)ダイバーシティー&インクルージョン
今回の侍ジャパンは、メジャーリーガーから、20歳の若手ピッチャーまで、幅広いメンバー構成でしたが、いつも明るく、チームを鼓舞しながら大活躍したのがヌートバー選手でした。初の日系選手の代表参加ということでしたが、ムードメーカーとしてチームを勢いづけていました。栗山監督も、彼ならすぐにチームに溶け込めると思い、メンバーに選んだということです。選手がそれぞれの持ち場で、独自の力をいかんなく発揮していました。
5)心理的安全性
選手を全面的に信頼する監督の姿勢に始まり、大谷選手やダルビッシュ選手も気さくに若手に寄り添いつつ、挑戦できるムードを作っていました。また、決勝戦開始前には、大谷選手が「今日だけはメジャーリーガーへの憧れを捨てて、超えよう。そのために来たんだ」という意識づけをチーム全員にしていましたが、このチームでは、選手が臆することなく、堂々と相手に向かっていける環境が作られていたのだろうと感じます。
今回のWBCは、本当に素晴らしい試合ばかりでした!
これを見て、野球が好きになった方も増えたのではないかと思っています。
これから日本のプロ野球シーズンも始まりますが、またまた楽しみです。