22期の藤川です。
アップルファーム社は、宮城県を中心に、障がい者雇用を基盤とした事業を展開する企業です。今年4月の「人を大切にする経営研究会」での社長講演をきっかけに、先日、仙台で渡部社長から直接お話を伺う機会をいただきました。社員一人ひとりの「役割」が企業の成長に果たす意義について理解することができ、大変学びの多い時間となりました。
1. 経営理念が導く役割
アップルファーム社の経営理念には、「全ての人が役割を自覚し、真の幸せを追求できる社会を目指す」と掲げられています。この理念を基に、社員が自身の役割を認識し、身に付けていく過程を重視した経営を実践されています。
渡部社長は、「役割を明確化し、それを自分のものにするには3年かかる」と語り、時間をかけた対話とサポートの重要性を強調されていました。同社が運営する「自然派ビュッフェレストラン 六丁目農園」でも、障がい者が苦手とする接客業務以外の、能力を発揮できる場を提供しています。例えば、聴覚障害のあるスタッフにはピザ窯の担当を任せるなど、適材適所での配置が行われていました。
2. 強みを活かした事業モデル
上記の「自然派ビュッフェレストラン 六丁目農園」では、障がい者雇用を中心としながらも、一般の飲食店にはない独自の価値を提供しています。ビュッフェ形式を採用することで配膳業務を削減し、その分、厨房業務に人手をかけ、手作りに徹底的にこだわった運営を実現しています。例えば、一番人気の「人参ラぺ」は、人参を一切れずつ丁寧に手作業でカットするなど、細部にわたる配慮がお客様から高い評価を得ています。私もいただきましたが、柔らかな口当たりでとても美味しく、素材本来の味わいが伝わってきました。
同社では、障がい者福祉事業所としての強みを生かしながらも、一般事業として収益を上げる独自の事業モデルを築いてこられました。渡部社長は「方法は真似できても、15年のノウハウや世界観は真似できない」と語っています。その結果、現在では予約が数カ月先まで埋まる大人気店となっています。
3. 「経営者」の役割
渡部社長は、「経営者の役割は社員一人ひとりの役割を発見し、それを支援すること」だと語られていました。社員をやる気にさせることが社長の仕事であり、社員の強みにフォーカスすることで、経営者自身も、心の安定を得られるとおっしゃっていたのが、とても印象に残っています。また、「人が生み出す付加価値」に注目し、DX化が進む中でも顧客に接する部分は人の力で行うべきだという考え方からも、事業への強い思いが伝わってきました。
アップルファーム社は「役割」を軸に、障がい者雇用を福祉ではなく事業の強みとする姿勢を貫いておられます。この取り組みは、企業経営のあらゆる場面で非常に参考になる考え方だと感じました。
仙台を訪れる機会があれば、「自然派ビュッフェレストラン 六丁目農園」にも立ち寄り、同社の想いが詰まった料理と空間を体感してみるのもおすすめです。渡部社長が語る「真似できない世界観」の一端を感じられると思います。
言葉だけではなく、それを企業理念として掲げ、経営にて体現できるというのはすごいですね、コンサルティング事業にも説得力を感じました。
コメントをありがとうございます。
社員一人ひとりの役割を社長自らが理解し、それを独自の強みへと導いておられることに、感銘を受けました。仙台を訪れる機会があれば、レストランにもぜひ。食事もとても美味しいですよ!