古い建物を見て廻るのが好きです。もちろん古い分、不便なところも多いだろうから維持するのは大変なんだろうけれど、実際に暮らしていらっしゃる方々の意気を感じるとグッときます。こちらもこの近辺を自転車でウロウロしていて初めて知った店。岐阜市の忠節橋通り沿いにあります。店といってもいわゆる現代の商店らしさはほとんどなく、広い通りにポツーンと異次元の雰囲気。素晴しい建物だなぁ、よく残ってるなぁ、と感心していると、パッと見では分からないが、木の看板が出ていて、製麺所と書いてあり、ショーケースが目に入る。これは行くしかない。
開けっ放しの木戸の中に入ると、土間に小さなガラスショーケースが置いてあり、本当に少量の乾麺が数種類と、小さなスープの小袋がおいてあった。たぶん業務用のものを少し小売りしていらっしゃるんだろう。「こんにちはーっ」と声をかけても誰も出てこない。外にでも出ているのかな、と思って引き返そうとすると中から「…ごめんねー」と老齢のオカアサンが出ていらっしゃった。ひょっとして生麺もあるのかなと訊いてみると、横にあった年代物のコカコーラの冷蔵庫からわざわざ取り出して下さった。でもこの日は暑く、クーラーボックスもない身なので生麺は断念。次回にすることに。うどんと中華めんとそうめんがあったのだが、その中からうどんを選ぶ。お勘定をして家に持ち帰った。
後日、家で乾麺を茹でてみる。ビニール袋には「ヤマタ製麺工場」と書いてあり、店入口の横に出ていた古い木の看板と名前が違う。もうこの名前は使っていないのだろうか。でも撮ってきた写真をよく見ると、古い木製看板の「田崎製麺所」の文字の上には「Λ」と「田」の屋号が。住所もこの場所で間違いないので、やはりここで作っている麺だ。でもこの製麺工場に関する情報はほとんど見当たらない。
ビニール袋には茹で時間の目安が書いてなかった。しまった。オカアサンに訊いておくんだった。茹で途中で按配を見ながら茹であげ、皿に盛って葱と生姜を少しのせ、つゆをぶっかけて食べてみた。感想は…うん、乾麺のうどん(笑)。ま、それ以上でも以下でもないが、スーパーでなく、こういう店で買わせていただいたことが嬉しいじゃないか。(勘定は¥108/1袋)
田崎製麺所
岐阜県岐阜市真砂町12-15
(田崎製麺 ヤマタ製麺工場 ヤマタ製麺所)