生麩や生湯葉を扱う老舗「麩兵(ふひょう)」。創業が天保7年(1836年)で、178年という凄い歴史を持つお店。岐阜市の伊奈波神社の参道を横切る街道沿いにある。この通りが「御鮨街道(おすしかいどう)」と呼ばれている事を知ったのはまだ最近。自転車で近辺を散策した時に、その云われが近くの道路上の案内板に出ていた。ここで言う御鮨はもちろん長良川で獲れる鮎で作られる馴れ鮨で、「鮎鮨街道」とも呼ばれていたとか。江戸(徳川家)へ献上するまでたった5日程しかかからなかったというから凄い。
そんな歴史ある街道沿いにある店は近代的なビル。すっきりとした店にはガラスのショーケースの中に様々な麩や湯葉がビニールパックなどに包装されて売られている。今まで生麩を買った経験がないので、どれを買ったらいいか分からない。店のお姉さんにいくつか説明してもらい、一番シンプルなあわ生麩を購入した。いくつか調理方法を説明してもらい、説明書きももらって帰る。
家に持ち帰ってさっそく食べてみた。一晩で食べられる量ではないので、小分けにしたいがぴっちりビニールに入っている生麩はなかなか出てこない。説明書きにあったように少し水を入れ取り出した生麩はモチモチとした感触。包丁を入れてもなかなかすっと切るのは難しい。薄切りにして、まずは醤油でそのまま食べてみる。グルテンの固まりだから食感はなんとなく想像がついたが、思ったよりもしっかりした食感。粟だろう細かい粒が舌に当ってアクセントになり、なかなか旨い。それ自体は淡白な味だが、日本酒のつまみにピッタリだった。後日には店のお姉さんに教えてもらったように焼いて食べてみた。バターでと言われていたが、オリーヴ・オイルを使って、少し塩をしてみた。熱でプクッと膨らみ、焼き目がついて旨そう。ワインと合わせてみたが、これもいける。オリーヴ・オイルを吸った外側がカリッと焼けて食感も変わる。素材そのものがシンプルなので、どんな風にも化ける。なかなかおつなものだった。他の味も試してみよう。(勘定は¥578)
↓ 街道沿いには歴史を感じさせる建物も残っている。これは金屋町の岡本邸。右が現在の御鮨街道。
麩兵 (ふひょう)
岐阜県岐阜市米屋町15番地