創業宝暦5年(1755)という260年近くの長い歴史を持つ和菓子屋「槌谷(つちや)」。大垣市の俵町に本店を置く老舗で、現在は「つちや」として県下の各所に支店がある。この近辺は区画整理が進行中で、この店の周囲も広い道が迫ってきている。そんな中に存在感のある古い店舗。見上げると豪華な柿の彫り物も付いた年季の入った木製看板が掛かっているが、名物の「柿羊羹」という文字の下にアルファベットで「KAKIYOKAN」と彫られているのがなんだかアンバランスで面白い。店に入ると様々な和菓子が並ぶショーケースがあり、右側に冷蔵が必要な和洋菓子が並んでいる。何にしようかと覗いていると、お店の方が、小さい盆の上に、発売中だというフルーツ味の水饅頭と、一杯の冷たいお茶を出して下さる。暑い中を駅から歩いて来たので有難い。店内に用意された椅子に座っていただいた。こんなおもてなしをしていただくと、和菓子屋ではいつも少量しか買わないのでなんだか申し訳ないが、「構いませんよ、暑い中わざわざありがとうございます」と素敵なお言葉。遠慮なく、水饅頭とレモン味の「ぽよ」というお菓子を包んでもらった。
ぽよはもちもちの皮の中にクリームが入ったお菓子で、中のクリームがレモンの風味。冷やしてあり、味わいは意外とあっさり。水饅頭は小さく、こちらも中のこし餡が甘過ぎず、あっさりとしてぷるんとした柔らかい口当たり。暑い夏に出回る商品のようで、自分が歩いたこの日のように暑い日だと、口当たりも食感もよく、涼が感じられてとても旨い。大垣はこの水饅頭(葛饅頭)が名物になっており、そこかしこで売っているが、どこが元祖なのかはよく分からない。それぞれの味の差もさほど大きくないように思うが、それでもデパートやなんかで大量に捌かれているのを購入するよりも、こんな歴史ある店の雰囲気を味わい、やさしい心遣いを受けてから食べると乙なもんです。
このお店の裏手に煙突があったので、銭湯でも残っているのかなと思ったら、一帯の敷地は全部この槌谷のもので、作業場とか蔵があるのだった。すごいなァ。(勘定は¥500程)
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岐阜県大垣市俵町39
(御菓子つちや 御菓子槌谷 お菓子つちや)