岩清水日記

「あしひきの岩間をつたふ苔水のかすかにわれはすみわたるかも」良寛

『ブルックリン』観て、「ゆれるこころ」について考えてしまいました。

2016-08-28 22:26:43 | 映画・DVD 

前回とは別の視点でこの映画について書いてみたいと思います。

主人公エイリシュは聡明な女性です。

ただ、映画の設定では美人というわけではありません。

演じたシアーシャ・ローナンは魅力的な女性なので、ここは違和感があるのですが、

アイルランドの片田舎のダンスパーティではいつも壁の花です。

ボーイフレンドができません。

若い女性にとってなかなかつらいことでしょう。

仕事はない、ボーイフレンドもいない、となれば古めかしい街から出ていきたいというのは当然のように思います。

アイルランドからの移民船の旅はひどいもので、「タイタニック」の比ではありません。

その苦しい旅の後、入国審査があるのですが、面接時の心得を同室の女性から教えてもらいます。

服装を整えて毅然とした態度で入国審査官に接しなさいと。

そうして無事入国できるのですが、ブルックリンのアイルランド人が集まるダンスパーティでも

やはりモテません。

つらいですね。

そこに現れたのイタリア移民のトニーです。

彼はアイルランド人とは美意識が少し違っていたのかもしれません。

エイリッシュに一目ぼれをします。

まさに一目で彼女の美質を見つけたのです。相性ということもあるのでしょうが。

エイリッシュは、男性への接し方はアイルランド女性としての節度を守ります。

トニーもイタリア男性としての礼儀を持っています。

エイリシュにとって初めて付き合う男性がトニーでよかったと思わせます。

エイリシュは少しずつ自信を持ち始めます。

簿記学校に通い資格試験にも合格します。

充実した生活は彼女を磨いていきます。

 

アイルランドのへの帰国をする時には、レディへと変身しています。

日本でも同じですがニューヨーク帰りは、羨望の目で見られ、最新ファッションは注目の的になります。

故郷に錦を飾ったわけです。

もちろん若い女性です。男性に声をかけられれば悪い気はしません。

こころが揺れてしまいます。

観客は彼女の行動や心の揺れにハラハラドキドキしてしまいます。

エイリシュの心のあり様を丁寧に表現しているからこそ、観客も引き込まれてしまいます。

まさに「愛されるムービーNo.1」という評価がわかります。

 

追記:彼女は好んでグリーンの服を纏います。アイルランドのナショナルカラーです。

 


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