前回では盗難事件の犯人捜しが進められているところまででした。
この作品は見事なまでに伏線が張巡られており、一度観ただけでは見落としていることが多いのです。
2度見てからのちに修正が入ると思います。悪しからず。
ノヴァック先生は、よく備え付けのコーヒーメーカーに付属している料金箱にコインを入れてコーヒータイムを過ごします。
ある時、その料金箱から小銭を獲っている教員に気づきます。
この辺りはまったく主観です(お釣りを取ろうとしたという見方も)が、
もしかしたら…教員による窃盗かと疑念が湧いてきます。
一方、ノヴァック先生は事務的な業務をしているベテランスタッフのクーンさんの事務手続きの遅れに不満があります。
教員室の隣のブースです。
この映画の原題は「職員室」ですからね。ここもポイントです。
実はこの盗難事件もたいしたことではないのかもしれません。
しかし「不寛容」の学校ですからたいしたことないではすみません。何らかの処分につながることになります。
その過程で大問題に発展してしまうのです。
きっかけはノヴァック先生のある行動から始まります。
また別の一日、ノヴァック先生が教員室内の自席でパソコンを開きオンラインで専門家と話をしていると、同僚が話しかけてきて中断せざるを得なくなりました。
パソコンはいつでも撮影できる状態になっていました。
そこで深くは考えることなく職員室内が映る動画をオンにしたまま授業に出ていきます。(明らかにモラルに反しています)
下準備としては椅子にかけたジャケットに現金が多めに入った財布をいれておきました。
何かが起こるかもと。
授業から戻ったノヴァック先生は財布の現金がないことを確認、パソコンの動画をチェックします。
すると、そのジャケットに触れる人のブラウスがわずかに映っています。顔は映っていません。
このブラウスには☆柄がついており、着ている人は1人しかいません。
事務業務をしているクーンさんです。
頭に血が上ったのかノヴァック先生、直接クーンさんにパソコンを見せます。
ところがクーンさんは断固否定します。
更に頭に血が上ったノヴァック先生は、厳罰主義の校長にパソコンを持って事の次第を訴えます。
こうなるともう後戻りができない状態です。
ここで放談会での意見紹介です。
「この聡明なノヴァック先生が盗撮をするという設定は無理がある」という意見が複数ありました。
確かに普通なら無理ですが、人間はだれでもエモーショナル(突発的)な行動に走る可能性があるともいえます。
よくいう魔が差したというやつです。
私もこれは魔が差したなと思いました。
しかしです。魔が差す人がこのあとわんさか出てくるのです。
校長も動画を観てクーンさんによる窃盗を確信しクーンさんは学校に来れなくしてしまいます。
冷静にみれば動画にはクーンさんの顔も映っていないし窃盗をした現場も映っていませんから真実はわかりません。
えん罪の可能性もあるのです。
しかし観客もエモーショナルな感情を持ってしまい校長やノヴァック先生に同調するようになったのではないでしょうか。
さてノヴァック先生の担当する教室です。
なんとクーンさんの息子であるオスカーがいるのです。
生徒は20人ほどいますのでこのオスカーくんを当初は把握できていなかったのですが、やがてスポットライトがあたります。
性格的には明るくはないのですが、とても聡明な子なのです。
ペーパーテストでも体育の授業でもその聡明さと独創性が見られました。
ノヴァック先生には可能性が感じられる生徒だったのです。
ややこしいのですね。
何ともよくできたストーリーです。
この話はどう展開するのでしょうか。
続きます。
※この映画の全国の上映スケジュールです。関東はほとんど終わっています。
いま、西日本のアートシアターでの上映に移っています。
ということでストーリーを少し詳しく紹介してもいいのかなと思いました。
お読みいただきありがとうございました。