岩清水日記

「あしひきの岩間をつたふ苔水のかすかにわれはすみわたるかも」良寛

「なでしこジャパン」をもう一度、頭の中へ。

2012-08-11 14:47:02 | オリンピック、パラリンピック

ロンドン五輪の日本選手団への熱い応援を続けた2週間だった。
特に日本にこだわるつもりはないけれど、やはり日本チーム中心の放送であり、マスコミ情報だからしかたがないということにしたい。

いろいろなドラマがあり、数十年ぶりということばも覚えきれないほど聞きました。
史上初もありましたね。
男女サッカー、女子卓球団体、女子レスリング金3連覇、女子アーチェリー、男子フェンシング団体、女子重量挙げ、そのほかにもあったように思いますが思い出せない。

こうして列挙してみると女子の活躍がすごいですね。
選手団自体も女子が初めて過半数になったと。

これは女子が頑張っていて、男子は頑張っていないという話ではないでしょう。
女子を指導している男子コーチが優れているということもあるかもしれないから。

しかし、なぜ日本女子が世界に通用するか、ということは検討に値します。

資料的にはやはり「なでしこジャパン」が一番充実しています。
「なでしこジャパン」を研究すれば、結論が見えてくると思います。

少し考えてみましょう。

佐々木監督や澤選手がよく話します。

「今のなでしこは、女子サッカー30年の結実である。次の世代も受け継いでいってほしい」

昨年のワールドカップ優勝以前の女子サッカーの「艱難辛苦、汝を玉とする」状況もよく聞きました。

彼女たちのサッカー人気を継続発展させたいという気持ちの中に、注目されない時代の厳しさがあることは確かです。

なでしこに限らず女子スポーツは一部の例外を除いて経済的に恵まれていません。

高給を獲れるのは、プロゴルフぐらいです。

そのゴルフは優遇されると実績につながりにくい例として上げられそうです。

なでしこのスピリットを見ていくと、アマチュア的だと思うことが多いです。
精神の在り方とか、マナーに関してもそうです。

たとえば、決勝戦にアメリカ、ペナルティエリア内での米選手のハンドに対してのクレームは誰一人行っていません。
あのプレイは映像でみても間違いなくハンドで、当然PKになります。
PKを蹴るのは宮間ですから99%外しません。

そのドイツ人の審判には、地元ドイツ紙が、明らかな誤審だと論評しています。
しかし、なでしこジャパンにとって、その判定は重要ではないです。
彼女たちには、審判や相手チームをリスペクトすることこそ重要で、そのことをできなくなることこそ危機なのです。
あの場面でも自分たちの信念を守ったことこそ重要で、彼女たちの勝利はここにあるのです。

では、なでしこジャパンはいつ命名されたか。佐々木監督の『なでしこ力』から引用します。

2004年、当時の川渕会長の発案で一般公募から採用されたとあります。
今は死語となったといわれた、大和撫子が復活したときです。
ではなぜ、この古めかしい花の名を採用したのでしょうか。
それは採用した人々に、日本女子サッカーチームが、なでしこのように思われただろうことと、なでしこになってほしいと思ったに違いありません。

2007年、なでしこヴィジョンが策定されました。

そこには、なでしこらしい選手像が明記されています。

「ひたむき、芯が強い、明るい、礼儀正しい」です。

選手には、なでしこらしい選手になろう。

指導者には、なでしこらしい選手を育てようと。

こうして見てくると、なでしこジャパンは、その選手像がとても明確です。
いくら強くなっても、「ひたむき、芯が強い、明るい、礼儀正しい」選手でなくてはなでしこ選手と認められないのです。

私は、これが男性協会幹部の女性像から生まれたものとは思いたくありません。

女子サッカーを創ってきた先輩の思いから生まれたものと思いたい。

私たちがスポーツに求めているものも明らかになっているように思います。


なでしこの素晴らしさは、このようななでしこ選手が五輪のメダルを獲るほど強いということです。

もちろん、なでしこらしさが、素晴らしいチームワークを生み源泉になっているのです。

チームワークを体現したのがパスサッカーです。

このチームワークは、なでしこ像から生まれたものですから、そうは真似できません。

こころと技術、この二つを重視するからこそ、なでしこジャパンは強いのです。

その影響が日本チーム全体に及ぼしていると私は思いたい。

いや、本格的に影響を与えるのはこれからかもしれません。

願わくば、男子へ、世界へと広がってほしい。


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