岩清水日記

「あしひきの岩間をつたふ苔水のかすかにわれはすみわたるかも」良寛

「核ごみ説明会 信頼裏切る行為は残念だ」 山陽新聞社説 2017年11月29日朝刊

2017-11-29 15:33:22 | 原子力発電

11月22日、岡山市にて、意見交換会が開催された。冒頭に主催者から陳謝の言葉かありました。意味不明だったのですが、本日の山陽新聞の社説を読んで理解できました。

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原子力行政への信頼がまたしても損なわれた。原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分場の候補地選びに関する意見交換会で、謝礼を持ち掛けて動員を図っていた問題である。

 会は、経済産業省と原子力発電環境整備機構(NUMO)が10月から全国で開いている。NUMOから広報業務を孫請けしたマーケティング企画会社が埼玉、東京など5都府県の会場で、学生39人に謝礼を渡す約束をしていたことが明らかになった。

 発覚後にNUMOは企画会社からの聴取に基づき、動員は同社の担当役員が独断で行い、現金などの授受はなかったと発表した。

 ただ、さかのぼれば同社が関与した昨年のNUMOのセミナーで現金を受け取ったとの証言もある。世耕弘成経産相はNUMOに再調査を求めている。現金授受や発言の誘導が無かったかなど、徹底的な解明が求められよう。運営方法に十分注意を払わずに委託先に丸投げしていたのであれば、批判は免れまい。

 意見交換会は、核のごみの最終処分場の候補となり得る地域を示す「科学的特性マップ」を経産省が今夏にまとめたことを機に計画された。処分場は地下深くに核のごみを埋め、放射線量が下がる数万年から10万年先まで生活環境から隔離する。

 これほどの長期にわたり、しかも住民の不安が伴う事業である以上、国民の十分な理解と合意を抜きに進めるわけにはいかない。

 問題発覚後の先週、岡山市でも意見交換会が開かれた。出席者から「地震の多い日本に10万年後も安全な場所があるのか」といった質問が出た。こうした疑問に一つずつ答えていく努力こそ重要である。その第一歩で不信感を招いたことは残念だ。

 原子力事業を巡っては、電力会社などによる根深い「やらせ」体質が指摘されてきた。2011年には、九州電力の玄海原発再稼働を目指した地元県民向けのネット番組で、推進の立場でのメールを送るよう九電が子会社社員らに指示していた。

 他の電力会社や政府機関によるシンポジウムへの動員や、発言を促すやらせ事例も相次いだ。こうした体質から脱却しなくては原子力政策に対する信頼は得られまい。

 国内にはすでに約1万8千トンの使用済み核燃料があり、原発の再稼働で増え続けている。最終処分場のない日本の原子力政策は「トイレなきマンション」と批判されてきた。核のごみの後始末の責任を、将来世代へ先送りすることは許されない。

 一方で、福島の原発事故以降、原子力事業に対する民意は厳しさを増している。脱原発依存の道筋を明確に示すなど、エネルギー政策の見直しも行いながら、国民の合意につながるような議論を丁寧に積み重ねていくことが求められる。

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