岩清水日記

「あしひきの岩間をつたふ苔水のかすかにわれはすみわたるかも」良寛

「貧困ライン」と「セーフティネット」

2008-11-20 22:54:08 | 社会福祉士
このことについて、私が書けることは限られています。
日本の「貧困ライン」は、年収いくらなのでしょう。
例えば平均年収の半分が「貧困ライン」と設定します。
世界の国の所得格差の中では、日本は相当格差のある方ですね。
逆にニュージーランドなどは所得格差が少なく驚いたことがあります。

いま、日本で「貧困ライン」を設定すると、私などは水面下ということになるでしょう。
そして、シングルマザーの家庭はほとんど「貧困ライン」以下になるでしょう。
母子家庭で年収200万円以上の方は少数と思います。
しかし、生活保護を受けることはできないと思いますし申請自体しないでしょう。
福祉事務所の窓口に出かけても申請さえできないはずです。

生活保護を受給されている方への偏見も根強いものがあります。
そのため、とても厳しい生活ながら「福祉」は受けないという方も大勢いらっしゃいます。
偏見は、ケースワーカーの中にもあります。業務をしているのは行政の一般職ですから、
社会福祉について十分な知識や見識があるというわけではありません。

地域包括の仕事をしていると、生活保護を受けておられる方の家を訪問することがあります。
多くの方から、ケースワーカーの対応についての怒りを聞きました。
その怒りは、偏見に対する怒りだと感じました。

高齢になって生活が困窮することは大変なことです。
それは、保護を受けられている方もそうでない方もそうです。
事業に失敗した方、連帯保証人となっていた方、今では、振込詐欺やマルチ商法で
なけなしの老後資金をかすめ取られた人。

国民年金や厚生年金の金額が少ない方は、老後資金が無くなると、最低限の生活を
維持することができなくなります。
そして、住宅費や医療費が生活を圧迫します。
福祉事務所からは、もっと安い住居に変われと言われますが、実際に転居できた人を
私は知りません。
高齢者が家を借りることが大変困難なことは簡単に想像できます。
私たちが大家の気持ちになればすぐにわかるはずです。

もちろん、高齢の方の多くは今まで十二分に働いてきて、今の身体ではもう働くことが
できないし、当然、働き場もありません。
一生懸命働いてきても、非常に厳しい生活状態になることはあります。
日本の現状ではよくあることです。

そして、そのことに社会がとても冷たいと思います。
今、多くの若者が厳しい状態に置かれているのは、社会全体が自らの保身に走り、
同じ人間であることを否定していることも大きな要因だと思います。

小田実は、「人間、ぼちぼちや」と言いました。
世界中を歩いて、「なんや、みな同じやな」ということでした。
この考えや感情が持てないと、人は人を差別すると思います。

「なんや、みな同じやな」。
なら助け合おうよ。
とならないとしたら、とても生きにくい国ですよ。この日本は。

写真は、助け合うことを学ぶ少年たち。

最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
みんな ぼちぼち (bonn1979)
2008-11-21 17:47:09
子どものころは
暗記勉強で競争しないで
スポーツをして「仲間」を体で理解して欲しいですね。

「岩清水節(ぶし)」を読み
元気になりました。

*この写真を、お借りしました。(1875号)
返信する