父親の認知症が始まって2年半以上になるけれど、どのように進行してきたか
細かな日記をつけているわけではないのであいまいな部分が多い。
そこでまず現在の様子(症状とばかりはいえないので)を書いてみた。
父親の生活範囲はベッドが置いてある寝室と近くにあるトイレ。
そしてテレビが置いてある食堂。
寝室から食堂までは廊下が6mほどある。
その間には手すりはない。
手すりはトイレと浴室、食堂への段差部分に付けている。
ゆっくりだが、歩くことはできる。
ベッドにも手すりをつけている。
床に座ったり寝ることはできないし、しない。
以前から昼夜逆転していたが、これは現在も同じ。
昼間は安心して寝ているようだ。
夜になると暗闇が不安なのか、2時間をおかず起きている様子。
ひとりでテレビをみて笑ったり、ぶつぶつ言いながら廊下を歩いている。
そして、点く照明は全部点けていく。
暗い廊下を見るといつも怒っている。
しかしその時以外は機嫌がよい。
認知症が進み始めると、それまで自律神経失調症(本人はそういう。服薬もしていた)で
起こる(?)不機嫌さに悩まされていた母親は、父親の柔和な顔に喜んでいた。
今でも、父親が「おかしいのー」を繰り返して、笑っていることが多い。
ただし、テレビを観ている時に、ぶつぶつと小さな怒り声を発することもある。
「おかしいのー」「そんなことしたらおえりゃせん」という。
父親には怒りの壺があるようで、その壺を開けると、怒りが噴出するという感じがある。
私に対しては息子と思っているようで、私の顔を見ると、「仕事しとるんか」
「結婚してるのか」と、絶えず聞く。
どのような返事をしても、またすぐ同じことを聞く。
父親の兄弟の名を、息子の名と思っている。
母親の名前が、妻の名前になっている。
「○○さんは死んだか」と絶えず聞く。
部屋の外に見える車のテールライトの赤を不思議そうに見ている。
家族に「なにをしとーるん」と、絶えず聞いてくる。
テレビや新聞を真剣に見ているが理解できない。
だからといって、困っているようすもない。
食事は自分で食べることができる。しかしバランスよく食べることはできない。
いつもご飯が残る。
先日、もやしが喉につかえて、私があわてた。
以来、もやしは出さない。
また、箸を持つより、手でつまんでしまう。
喉が乾けば冷蔵庫を開けて、牛乳をのむが、元に戻せない。
入浴は、訪問介護を受けている。
入れ歯は1年ほど前から、付けられなくなった。
匂いはあまり感じない様子。
味覚はある程度ある。
「旨い」ということがたまにある。
テレビで、女性を見ると「この人はきれいな人だ」という。
この評価に間違いはない。
歌のうまい人の評価も間違いはない。
成功者のような人にはまことに辛辣だ。
失禁がある。
冬からリハビリパンツをはいている。
日に1回、母親が交換している。
着替えや身だしなみはできない。
幸い、一人で外にでることはない。
自宅と昼寝が好きなのは若い頃から。
認知症を発症してから薬は飲まなくなった。
しかし、受診して血液検査や血圧測定しても、ほとんど正常値。
医師も不思議に思うほど、体調がよくなった。
それまでいつも引いていた風邪はまったく引かなくなった。
ただ、足の浮腫はひどい。
冬の間はほとんど散歩にも行かなかったので筋力低下が心配だったが、
大丈夫だった。
以上、思いつくままに書きました。
※写真は人見絹枝さんの銅像です。