岩清水日記

「あしひきの岩間をつたふ苔水のかすかにわれはすみわたるかも」良寛

只見町から檜枝岐村

2005-08-04 11:32:26 | Y21山の会と、ハイキング

六十里越トンネルを越え、福島県に入りスノーシェッドに
守られた道路を田子倉ダムまで降りてきた。
自然のスケールの大きさに、この発電量日本一の巨大なダムも
小さく見えた。
ところが、ダムの下まで降りてきて振り返ると、中空高く
聳えたダムに圧倒されることになった。
高さ145m、長さ462m、総出力38万Kwのコンクリートダムだ。

ダム下の風景は、険しい山岳地帯を下ってきた私たちの目には、
のどかに見える。
観光スポットやレジャー施設が点在している。
この風景の対比は不思議な気分をもたらした。
田子倉ダムが2つの世界の分岐点となっているようだ。
「縦と横」、「壁と床」の分岐点だ。

田子倉ダムから続いて只見ダムがある。ダムの高さは比較に
ならないほど低いがそれでも6.5万Kwの出力がある。
水量が多いのだろう。
湖面に霧が湧き、まわりの岩壁は水墨画のようだ。

標高400mまで降りてきた私たちは、只見駅前を右折し、
再び川沿いに上流を目指す。
ずいぶん上流にいる感覚なのだが、川幅は広く流れも速い。
本当に大きな自然だ。
道路の左右にある民家の中に萱葺きの古民家が混じり始めた。
あずまや造りだ。兜の形に似ているから兜造りともいう。
2階では蚕を飼っていたのだろう。
ただ屋根の葺き替えができていないので、まもなく
その貴重な姿を消してしまうのだろう。

川の名前は上流に行くにしたがい、只見川から、伊南川、
そして檜枝岐川へと変わっていく。
ふたたび道は狭くなり、スノーシェッドが現れた。
道も暗くなり始めた頃、やっと檜枝岐村に辿りついた。
4時間近い旅だった。

鄙びた村の小さな旅館と思っていたが、意外に「明るい」村と
旅館である。
街道筋も整備され、宿自体が総ヒノキ造りのようだ。
内装も檜がふんだんに使われ、白木の明るさに気持ちも
明るくなる。
自慢の浴室は、風呂はもちろん、壁や床、天井まで檜である。
どうしてこのように「裕福」なのだろうか。
この自ら「秘湯」と認める最奥地の村が。

続く。


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