岩清水日記

「あしひきの岩間をつたふ苔水のかすかにわれはすみわたるかも」良寛

【JR西検証】「限られた範囲でベストを尽くしただけだ」とは。

2005-05-14 11:20:52 | JR西福知山線脱線転覆事故&安全
JR西日本の中堅幹部の言葉である。
私はこの言葉を、根本的な誤りと書いた(5月13日)。
全文を引用すると、「私たちは何も安全を犠牲にしたつもりは
ない。限られた範囲でベストを尽くしただけだ。これを犯罪と
指弾されるのは本当につらい」。
(毎日新聞5月13日付)

企業犯罪を犯した中堅幹部の発言として、よくあると言って
いいだろう。
「任された範囲では、安全にも配慮した。最大限の努力をした」
では、結果はどうだったか。かってない災害を起こしたのだ。
それも100%人災である。
これを犯罪(罪を犯す)と呼ばずしてなんといってよいのか。
人災というのは、犯罪の別名なのだ。

各自が「任された範囲では、安全にも配慮した。最大限の努力を
した」というその各自の集合が、最悪の事故なのである。
ではこの各自が考えている「安全」とは何なのか。
それは、全体性のない安全ということだ。

例えば、
1.ブレーキはちゃんと利きます。
2.車両や線路の保守は出来ています。
3.新型ATSが付けられていなくても事故が起きないように
しています。
4.ダイヤ編成が守られれば事故が起きないようになっています。
5.最終的な「安全」は、会長、社長、安全推進部長が考えている
はずです。
6.会長、社長は、「安全」は安全推進部長が責任をもって考え
ているはずです。国も認めています。
7.安全推進部長は、「安全」は会長、社長とともに社員が考えて
いるはずです。

このような組織が無責任組織といい、事故が起これば責任を
転嫁する集団となる。
(労組にしても自己検証なしに会社批判することはできない)
「限られた範囲でベストを尽くしただけだ」という言葉は、
「ブレーキはちゃんと利きます、だからベストを尽くしていました」
と同義なのである。

「安全」を守るためには、業務を「限られた範囲」に限定しては
ならない。
他人の職域を相互に犯すことで守られるものなのだ。
このような業務の「相互侵犯」を否定された組織がJR西日本
だと断言してよいと思う。
なぜなら、「限られた範囲でベストを尽くしただけだ」という
言葉が当たり前に話されるということ自体がそのことを
物語っているのである。

みなさん、どのように考えられるのだろうか。

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