地域包括支援センターができて4年半を経過しました。
相談業務を中心に、成年後見、高齢者虐待対応、認知症予防、継続的包括支援、介護予防ケアマネ業務と
とても体系だっているとはいえない業務内容ですが、
報告書(地域包括ケア他)を読んでみると、
「方向性は間違っていない。もっと頑張れ。ちゃんと評価するシステムをつくれ」といった意見が多い。
必要とされている業務には違いないだろう。
しかし、もっと業務を進めるためには、介護予防ケアマネ業務を軽減する必要があると考えている関係者が
多い。
厚労省も、この部分の負担を減らすことを考えている。
だが、この介護予防ケアマネ業務は、単に地域包括業務の一部というわけではない。
介護保険のおけるケアマネ業務は、この制度の核心である(そうは思わない人もいるが)。
同様に地域包括でも、介護予防ケアマネ業務は核心である。
介護予防ケアマネ業務が地域包括の根幹であるという考えは奇異に聞こえるかもしれない。
では、4年半前に戻ってみよう。
ご存じのような基幹型在宅介護支援センターという地域包括の前身のような組織があった。
それも多くは市役所の中にあった。
行政の人が、ダイレクトに介護保険利用者に方に係わるのは、基幹在宅介護支援センターが扱うケースに
限られていた。
その他の利用者の方の情報は、ケアマネさんやサービス事業所経由でしか入らなかった。
それが、地域包括を抱えることで一気に多くの利用者さんの情報を直接把握できるようになった。
行政の当該部門は地域包括から生の情報を吸い上げることが可能になったこと。
これはとても重要なことである。
例えば、都道府県の介護保険支援セクションがとんちんかんなことをすることはよく知られているが、
それは利用者の生の情報が手元にないからである。
データとして数字は持っていても、介護保険を使っている人のことはなにもわかっていない。
これは県の担当者と本音で話すとすぐにわかる。
地域包括を直営で抱えてる自治体は、手元に情報や家庭訪問をしている職員がいる。
とんちんかんなことはなくなったはずである。
しかし、もし地域包括が介護予防ケアマネを外して、単に相談機関になってしまったら
力の源泉を失ってしまうことになる。
虐待や困難なケースだけでない圧倒的な数の利用者を担当するという強みを認識してほしい。
地域包括から介護予防ケアマネを外すということになれば、
地域包括は、介護保険制度を知らない組織になってしまう。
根拠法が介護保険法でありながらである。
実際、地域包括に寄せられる相談の多くは、いかに介護保険を有効利用できるかがに
かかっている。
それだけ介護保険関係のサービス事業所が地域の隅々まであり、使える社会資源なのである。
相談は相談だけではすまない。
受け皿が必要となる。
その受け皿の宝庫が介護保険ということだ。
このことを再認識す必要がある。
※人見絹枝さんの像。アムステルダム五輪800m銀メダリスト(1928年)。