岩清水日記

「あしひきの岩間をつたふ苔水のかすかにわれはすみわたるかも」良寛

正規社員vs非正規社員ではない。

2009-01-17 17:11:36 | 国民と国会と政治
最近の論調の中で、雇用の問題を、正規社員vs非正規社員という構図で
みているものが多くあると思います。

正規社員は過剰に守られている。
そのため、非正規社員は不安定な雇用にさらされている。

これは、公務員vs民間企業人という構図でも語られている。

働く人々の間に軋轢を生じさせることで、プラスに作用するのは、
やはり経営者側だと思う。

1990年代のリストラ時期には圧倒的に経営者側が強かった。
労働者側は総崩れ状態だった。
組合は大企業中心となり、非正規問題がクローズアップしたのは
最近のことだ。
組合側の対応の遅れはやはり批判されるべきだと思う。

一部の中小企業の経営者は「人材は宝だ」と、
ワークシェアリングに取り組み始めた。
会社は人で成り立っている。
社長と従業員がチームワークを組む「美風」を私たちは覚えている。
それを1990年代に企業側が一方的に破棄してしまった。

経営者側(竹中氏も含めて)は、組合に共同責任があるというが
当時も今も組合側に責任を持つだけの力はなくなっていた。
都合の悪いときだけ、共同責任という。
当時、ワークシェアリングが見送られた事情においても、
同じことがいわれた。
ワークシェアリングは経営者側がやる気があればできたことだ。
組合の責任にするのは無理がある。

例えてみると
経営者側と組合の関係は、
米国と日本くらいの違いがある。
この両者も雇い主と被雇用者くらいの差がある。

1990年代に、被雇用者は、企業の中で孤立を深めていった。
チームワークは評価されず、個人単位の業績が評価された。
このようの評価システムの中では、人々は自分の身を守ることしか
できない。
仲間を見捨てていかざるをえなかった。
会社を去った人は、非正規社員となり、
正規社員で残ったものは、既得権にしがみついた。
お互いの心は離れたままだった。

今こそ、再び、正規社員と非正規社員は連帯しなくてはならない。
敵対してはならない。
敵対すれば、私たちが失った仲間は永遠に戻ってこない。
今はその瀬戸際にある。

ともに目を開こう。

※写真は牛松山にて。

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2 コメント

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対立を煽ること (Maa-chan)
2009-01-19 20:03:38
 正社員vs非正規社員,こうやって対立構造を作り出し,対立を煽ることで,結局は経営側だけが得をするということになりはしないか,心配でなりません。

 非正規雇用問題の本質は何か,をきちんと検証し,解決のために必要なことを検討していくことが求められているのでしょう。・・・雇用問題(雇用に派生する貧困問題)は,社会福祉の「起源」でもあると言えます。私たちの出番も多くなるのではと思います。
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非正規に身を置いて。 (岩清水)
2009-01-19 21:52:56
Maa-chanさんも、正規と正規以外の立場に身をおいて
おられるからこそ、見えてくることがあるのではないでしょうか。
人は悲しいかな、立場の違う他者に心を寄せることはなかなか困難なことだと思います。
まずこのことを前提にして考えることが、
福祉の基本だと思います。

非正規雇用問題の本質を見極めること。
しっかり考えなくてはなりませんね。
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