朝日新聞デジタル 2020年4月24日
新型コロナウイルスの感染がどれだけ広がっているのかを、下水に含まれるウイルスの量から察知できるかも知れない。パリの水道公社の研究チームが、下水処理場の水からウイルスを検出することに成功し、感染拡大とともに量が増えたことも確認した。PCRのような検査が限られ、感染歴を調べる抗体検査も開発途上のなか、感染拡大の傾向を知る手段になる可能性があると期待されている。
感染者の便や尿には微量のウイルスが含まれていて、トイレを通じて下水に流れ込む。このため、下水に含まれるウイルスの量を継続して調べれば、感染の広がりを推計できる。
研究チームは3月5日~4月7日、パリ都市圏の下水処理場3カ所で下水をPCR検査。いずれからもウイルスを検出した。フランスの感染者は現在約16万人、死者は2万人以上に及んでいるが、下水中のウイルスは死者が増える少し前から増えていたという。
下水や川の水からウイルスを検知する手法は別の病気でもよく使われており、イスラエルで2013~14年にポリオが感染爆発したのを察知した例がある。豪州や米国、オランダも下水から新型コロナウイルスの検出を進めているという。
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日頃からサンプルを取っている過去の下水を調べれば、その地域でいつから感染が広がっていたかをさかのぼれる可能性もある。研究チームは「感染者が多すぎて人への直接の検査ができないときや、倫理的、経済的に難しい場合でも、感染者数を早期に把握できるかもしれない」とした。
研究結果は論文サイト「medRxiv」に投稿された。(ワシントン=香取啓介)
※日本のようにPCR検査が遅れている国には有効かもしれません。エリアも限定できると思います。
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