皓星社ブックレット13 2001年出版
群馬県栗生楽泉園で1996年から4年に渡って取材をした写真集です。
寺島さんは1926年生まれの元医師です。異色の写真家といっていいでしょう。
撮影後記に書かれている言葉をいくつか引用させていただきます。
「15歳ころ医師になろうと思ったきっかけの一つに、北條民雄などハンセン病者の
文学や小川正子の「小島の春」があり、この病者のために尽くしたいというひそかな思いが
あったからです」
医師として地域医療に携さわったことは悔いのない人生だったですが
「ハンセン病者に対して何もして来なかったという負い目に似た思いが、
どこか胸底にあったことは事実です。
しかし何かきっかけをつかめませんでした」。
1996年夏、寺島さんは短歌を詠む夫に連れられて栗生楽泉園を訪れます。
そして、人々の人間性に惹かれてカメラを背に栗生楽泉園通いがはじまったのでした。
十数名の方の聞き書きもされています。写真をみれば本当に入園者の方々に信頼された人だと感じます。
入園者の方々を撮影した写真はアマチュアカメラマンのレベルを遥かに超えています。