50歳を前に牧師を辞め、一人世界の旅を初めた金纓さん。
まずは、カバーに書かれた本書の紹介から
韓国で生まれ育ち、日本人牧師との結婚により帰化、言葉や文化の違いに悪戦苦闘しながらも育児・勉学・仕事に邁進してきた女性が、
50歳を目前に、仕事も住まいも持ち物も捨てて、リック一つで旅に出た。
途中乳がんの冒されるが、術後1カ月で旅を再開、予期せぬ出会いやハプニングを愉しみながら訪ね歩いた97の国々、生きることの不思議と歓びを綴るエッセイ。
旅は3年半に及びました。
こんなことをひょいひょいと実行できる女性がいるのです。
実行できる日本人、圧倒的に女性です。
夫に先立たれ、娘さんたちは立派に巣立った後、彼女自身も日本という狭い巣から旅立ちました。
偶然旅先で乳がんが発症し急遽帰国、手術後再び旅立ちます。
心の中は再発の不安でいっぱいだったでしょう。
彼女の旅は傍目からは巡礼の旅のように見えます。
同行二人の一人は弘法大師ですが、彼女はもちろんイエス・キリストです。
心の中は、「メメントモリ」(死を覚えよ)。
中世の修道士の挨拶ことばらしいので牧師の彼女にぴったりです。
お墓好きだそうです。
私もお墓好きです。
それがどうしたかと。
話が合うかもしれません。
金さんは、よほど人に好かれる方らしく、旅先で土地の人によく接待されます。
個人宅に長期滞在もしていて、なかなか旅立てなかったそうです。
「さよならだけが人生だ」といいいますがしかり。
これは旅人の共通の思いですね。
旅先であったほとんどの人にはもう二度と会うことはありませんから。
彼女は小さなリュック一つで旅をする。
それは旅の名人ということです。
そして少し前のことばですが、いわゆる断捨離の名人でもあります。
私は捨てるのが苦手なのでとてもうらやましい。
彼女は、韓国語のネイティブで日本語もほぼネイティブ、英語は堪能だから旅は楽だろうと思われているけれど、
そんなことは大したことではないという。
この3か国語が通じない国や地域は山とあるわけで、魅力的な南米諸国の民はほとんどラテン系の言葉しか話さない。
この本では世界各地の具体的な風景と風土、人々の様子が細かく書かれている。
それは私が書けることではないので、ぜひ購入して読んでいただきたい。
ただし、新本は手に入らないのでアマゾンなどで中古本を探してください。
旅と人が好きな人には絶対後悔させませんよ。
書き忘れました。
金纓さんは、歌手の沢知恵さんのお母さんです。
素晴らしいお母さんですね。
お読みいただきありがとうございました。