今日は国土技術政策総合研究所(通称「国総研」)の講演会を聞いてきました。国総研は、住宅・社会資本分野で唯一の国の研究機関として、平成13年4月に設立されたもので、国土交通省の行政部門と一体となった技術政策研究を実施しています。
国総研では、河川、道路、下水道、建築、住宅、都市、港湾、空港等の政策や事業の実施を通じて得られた研究成果を社会資本の効率的な整備という形で広く社会や国民に還元することが使命なのだそう。
かつては土木研究所という名称でしたが、いまは国総研と名前を変えて、研究の幅も広がっています。今日はその研究の一端を各分野ごとに報告してくれる後援会なのです。
実際にそれぞれの研究の最先端の話を聞くと、新しい技術や考え方に大いに興味がわいてきますし、また基調講演として、特別な先生をお招きしてのお話も楽しみでした。
※ ※ ※ ※
そんな中、東京工業大学の桑子先生からは、「社会的合意形成理論と技法」という題でお話をしていただきました。
桑子先生は、実際に国土交通省の現場事務所で事業と住民が対立するような場面の調整役としてかり出され、その実践を通じて、住民の合意形成を計るにはどうしたらよいか、ということを研究されているのです。
先生は、住民との合意形成の上で最大の難敵は「職員の異動だ」と言います。合意は信頼の上に成り立つものなので、信頼を形成するだけでも2~3年はかかるものなのに、せっかく信頼を築いたところで人事異動をされたのではまた話が元に戻ってしまうのだと言います。
そしてそれは、住民の信頼の対象は「職」や「肩書き」なのではなくて「人」について回るからなのだ、とも。全くその通りです。
しかし人事異動が不可避なのだとしたら、それを踏まえて住民との合意を進めることをプロジェクトと考え、そのプロジェクトをマネジメントするという発想が必要です。
桑子先生はその経験から、日本文化に蓄積された合意形成に着いての考え方として、
①みんなで話し合い
②熟慮した賢明な提案を採択し
③笑いを含む工夫を凝らしながら
④解決のための決断へと導くプロセス、というものを考えています。
またこれに、先生が主催するNPOでの「合意形成」の理解として、
①多様な価値観の存在を認めながら
②人々の立場の根底に潜む価値を掘り起こして
③その情報を共有し
④お互いに納得できる解決策を創造して行くプロセス、ということを加えることで骨格をつくり、あとは現場の状況に合わせて具体的な形を構築すると良い、とおっしゃいます。なるほど、現場的です。
「始めに結論ありき」や「なあなあ」、「なしくずし」、「アリバイづくり」など、合意形成に向かうための障害となる言葉を列挙したリストが資料で配られました。
こういう講演会をもっとやって欲しいものです。勉強になりました。
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国総研では、河川、道路、下水道、建築、住宅、都市、港湾、空港等の政策や事業の実施を通じて得られた研究成果を社会資本の効率的な整備という形で広く社会や国民に還元することが使命なのだそう。
かつては土木研究所という名称でしたが、いまは国総研と名前を変えて、研究の幅も広がっています。今日はその研究の一端を各分野ごとに報告してくれる後援会なのです。
実際にそれぞれの研究の最先端の話を聞くと、新しい技術や考え方に大いに興味がわいてきますし、また基調講演として、特別な先生をお招きしてのお話も楽しみでした。
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そんな中、東京工業大学の桑子先生からは、「社会的合意形成理論と技法」という題でお話をしていただきました。
桑子先生は、実際に国土交通省の現場事務所で事業と住民が対立するような場面の調整役としてかり出され、その実践を通じて、住民の合意形成を計るにはどうしたらよいか、ということを研究されているのです。
先生は、住民との合意形成の上で最大の難敵は「職員の異動だ」と言います。合意は信頼の上に成り立つものなので、信頼を形成するだけでも2~3年はかかるものなのに、せっかく信頼を築いたところで人事異動をされたのではまた話が元に戻ってしまうのだと言います。
そしてそれは、住民の信頼の対象は「職」や「肩書き」なのではなくて「人」について回るからなのだ、とも。全くその通りです。
しかし人事異動が不可避なのだとしたら、それを踏まえて住民との合意を進めることをプロジェクトと考え、そのプロジェクトをマネジメントするという発想が必要です。
桑子先生はその経験から、日本文化に蓄積された合意形成に着いての考え方として、
①みんなで話し合い
②熟慮した賢明な提案を採択し
③笑いを含む工夫を凝らしながら
④解決のための決断へと導くプロセス、というものを考えています。
またこれに、先生が主催するNPOでの「合意形成」の理解として、
①多様な価値観の存在を認めながら
②人々の立場の根底に潜む価値を掘り起こして
③その情報を共有し
④お互いに納得できる解決策を創造して行くプロセス、ということを加えることで骨格をつくり、あとは現場の状況に合わせて具体的な形を構築すると良い、とおっしゃいます。なるほど、現場的です。
「始めに結論ありき」や「なあなあ」、「なしくずし」、「アリバイづくり」など、合意形成に向かうための障害となる言葉を列挙したリストが資料で配られました。
こういう講演会をもっとやって欲しいものです。勉強になりました。
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