北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

郊外の緑が減るのは

2009-02-24 23:52:24 | Weblog
 大都市の緑について意見交換をしていたときの話。ある政令市の職員が、自分のまちでなぜ郊外の緑が失われてゆくのかを話してくれました。

 都市行政ではほとんどの自治体で都市計画法という法律によって市街化区域と市街化調整区域という区分が行われています。市街化区域とは、すでに市街地を形成している区域及びおおむね10年以内に優先的、計画的に市街化を図るべき区域のこと。

 一方、市街化区域とは「市街化を抑制すべき区域」とされています。この区域では、建物の建築を目的とした土地の形質の変更(開発行為といいます)は原則として抑制され、都市施設の整備も原則として行われないという趣旨なわけ。

 つまり、建物を建てることが原則としてできないのだから、同時に水道や下水道、道路などの公共インフラも整備しない、ということを意味していて、このことによって野放図な市街地の拡大を防ぐこととしているのです。

 ただし例外はあって、一定規模までの農林水産業施設や、公的な施設、および公的機関による土地区画整理事業などによる整備等は可能とされています。

 そんなわけで、何か新しい施設を造ろうと思ったら事業者は、地価の高いまちなかに建てるよりは、地価の安い郊外部でつくるのが経済的なのでどうしても外へ外へと力が働きます。

 民間事業者の単なる儲け話ということでは、都市計画的な観点から議論をして許可するかどうかを考えればよいのですが、地方自治体が自ら外にやりたいと思ったらこれは案外簡単な話になってしまいます。

    ※    ※    ※    ※

 彼によると「昔は新興住宅地開発で山が削られてゆきました。今は福祉施設がそういう市街化調整区域にどんどん建てられて、都市周辺の緑が失われる傾向にあるんです」とのこと。

 かつては住宅難が社会の課題だった時には郊外住宅地を、そして高齢者が増大することが社会の課題となった今日、やはり郊外にそうした高齢者福祉の施設が外に外にと向かっているわけです。

 こういう施設をなんとかまちなかに戻すことができれば、活力を維持して郊外の緑や農地も守られるはずなのですが。

 社会のニーズと長期的なまちのあり方を調和させるのはなかなか困難ですが、そこに人間の叡智を結集させることが必要です。
コメント
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