北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

炭鉱の歴史を知ろう

2010-06-13 23:43:13 | Weblog
 北海道に住んでいて、歴史的に遅れていることは多いのですが中にはとっても進んでいることもあります。

 例えば日本に鉄道が敷かれたのは、1872年の新橋~横浜間が最初なのですが、それに遅れること8年の1880年に、日本で三番目に敷かれた鉄道が小樽~札幌間で運行を開始し、その2年後の1882年には現在の三笠市の幌内までの間が開通しているのです。

 これはなんといっても、良質の石炭を掘り出すことが明治期の我が国の殖産興業に果たす役割が極めて大きかったからです。

。なかでも三笠の幌内炭鉱は極めてカロリーの高い良質炭を産出することが分かり、明治時代以来ここ北海道の空知地方を中心に石炭の掘り出しが始まりました。

 しかしエネルギーの元が石炭から石油の時代に取って代わられるようになり、石炭掘り出しに投資をしてきた大資本も次第に炭鉱(やま)を諦めるようになり、炭鉱の閉山が相次いだことで次第に炭鉱で栄えた地域のまちのあり方も暮らしのあり方も変わってきたのです。

 そんな「炭鉱の記憶」を、過去の遺産として未来へ受け継ぎ、未来への貴重な素材として活用し、地域の再生に役立てたいと思い活動しているのが、NPO法人炭鉱(やま)の記憶推進事業団で、その活動を紹介する拠点が、岩見沢市駅前にある「そらち炭鉱の記憶マネジメントセンター」です。

    ※    ※    ※    ※

 北海道民として観光資源と言うよりもまず先人の歴史として、石炭について語らないわけには行かないわけで、一度は訪れて炭鉱採掘という暮らしの実相に迫ってみたかった私。

 先日知人にお願いをして、このマネジメントセンターの事務局にいるというSさんを紹介されておずおずと電話をしました。すると電話の向こうからは「え?こままさんでしょう?私昔仕事をご一緒したSですよ!」と明るい声が帰ってきました。

「ええ?なあんだ、Sさんだったんですか!?名前を聞いてどこかで聞いたことがあるなあと思っていたのですが思い至りませんでした。今度の日曜日にでも一度伺いたいのですがどうですか?」
「はい、日曜日だったら現地にいますのでぜひお越しください!」

 そんなやりとりで、今日やっとのことでこの「炭鉱の記憶マネジメントセンター」を訪ねることが出来ました。

 現地の事務所は、岩見沢駅前の商店街に建つ昭和初期の建物で、後ろには昔専売のタバコなどを保存した石蔵も併設しているなかなか趣のある建物です。




 車で家族と共に到着するとSさんが出迎えてくれて、様々な炭鉱に関する物語を紹介してくれました。

 幌内炭鉱を担った北海道炭礦(北炭)は官営鉄道も払い下げを受けて、多くの石炭を掘り出したのですが、炭層が斜めに入っていることから次第に掘り出しの主力位置が移って行き、そのための縦坑の位置が変わることで炭住による町も位置が変わった歴史があるのだとか。

 また北炭、三井、住友、三菱など各企業によるビジネスカラーというのがあって、当時の資料が散逸してしまった会社もあれば、実にきっちりと資料を残してくれている会社もある。

 また当時の炭鉱労働者というと搾取の対象となって酷い労働条件でこき使われたのかと思いきや、北海道の場合は炭住コミュニティは温かくて優しくて、良い思い出を語るお年寄りが多いこと。

 少し前までは、殉職された方も多かったことから地元自治体にとっては負の遺産という思いが強かったものの、NPOの活動や北海道遺産としての炭鉱の歴史に光が当たり始めたことなどから少しずつ地域の遺産としての価値を感じるようにもなってきたのだそうです。

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 センターの中には、空知地方に分散する炭鉱が残した遺産のマップや情報がパネルで展示されていたり、こうした活動を支援する芸術家や写真家、そして地域の炭鉱経験者などの活動が見られるようになっています。

 北海道の歴史遺産である炭鉱の物語ですが、決して暗いものではなく、まずはその実相に触れてみてドラマの数々に耳を傾けてみてはいかがでしょうか。案外炭鉱について勉強したことがなく、実はほとんど知らない自分に気づくことでしょう。








 さて事務局長のSさんからは、お昼を食べるんだったら近くの純喫茶のランチが絶品だと薦められたのですが、今日は岩見沢名物「キジ(雉)ラーメン」にしました。これもキジだけに良い記事になるくらいのネタでした。

 Sさん、今日はお世話になりました。またゆっくりと話を聞かせてください。
コメント (2)
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