東京の私大で教鞭をとっている友人が札幌に帰ってくるというので、仲間と彼を囲んで一杯やりました。
「東京の学生さんってどんな感じですか?」と訊くと、「地方の人が東京で大学生活を送るのって本当に大変だな、と思うなあ」とのこと。
「そもそも全国中から学生が集まっているの?」
「いやあうちなどは関東の一都三県の学生が8割以上だよ。全国からの優秀な人材と交流したいなんて思うなら、うちの大学では望めないね」
彼の大学はいわゆる六大学に入る有名私大なのですが、それでも現実はそのようなことなんだそうです。
「やはり東京で生活をするというのは金銭負担もかなりなものです。それを支える地方の親御さんって大変だと思うよ」
「学生もアルバイトで大変なんじゃないですか」
「うん、いわゆる単位が不足している学生に対する指導面談をすることになって、『ちゃんと学生生活が送れるのかい』と訊いたことがあったんだ。『アルバイトはどれくらいしているの?』と訊いたら、『週に六日、家電量販店で働いています』と言うんだ。それってもう、学生がアルバイトをしているんじゃなくて社会人がたまに大学へ来るようなものだよね」
「親御さんの支えはどうなの?」
「その子の場合は親が負担するのは家賃だけ。学費と生活費は自分で稼ぐという約束で上京してきているんだけど、これじゃあアルバイトのほうが忙しくて勉学や試験に割く時間が取れないのは明らかだよ」
若い世代の貧困と言うべきか、若者がしっかりと学べる環境を社会がどう作っていくかはこれからの大きな課題です。
社会の高齢化に伴って、福祉や医療にかかるお金は増える一方となると、国としての負担と配分のバランスはいったいどうあるべきか、政治的に真剣な議論が必要な気がします。
どこか、東京の学生生活なんて明るい希望に満ちているように思いましたが、地方出身者にとっては辛そうでした。
都会の住民の中での垂直な貧困問題とともに、地方と都会の貧困格差も深刻です。さてさて、どのような解決策があるでしょうか。