今月号の「日経コンストラクション」という雑誌の特集は「受注者が採点 発注者ランキング2019」。
発注者の側から、良質な業者を採点、格付けする制度は入札制度の定番ですが、雑誌の企画として受注者の側から良質な発注者を評価するという取り組みです。
建設業界の人手不足が言われるようになり、民間建設業者の技術力が落ちているのではないか、ということがよく話題になりますが、実は発注者の側も人手不足は同様です。
国でも公務員改革の名のもとに定員管理が厳しくなり、若い世代を採用できなかった時期が10年ほど続いた時期があって、ここである世代の職員数が激減しています。
地方自治体でも若手技術者の採用は思うように進んでいなくて、公務員の世界では技術力を次世代につないでゆく事に苦しんでいるのです。
そのせいか、発注者サイドでの積算ミス、理不尽な要求、杓子定規な対応に対する業界の不満の声も相変わらず聞かれます。
そうした声を、業界の側のアンケートから読み取ろうというこの企画ですが、実はこの企画は、日経コンストラクションではときどき行われていて、昔はどこが高かった・低かった、という経年での変化を見てみるのも面白いところです。
そして今年のランキングですが、なんとわが故郷の北海道開発局が堂々の第1位を獲得しているではありませんか!
こういう全国の関係者が目にする雑誌の企画で、誉められるというのは関係者としては我が事のように嬉しいものです。
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さて今回の調査手法は、国土交通省の各地方整備局や高速道路会社、都道府県が発注者となった工事や業務を、過去3年以内に手掛けたことのある建設会社や建設コンサルタント会社の社員を対象にしたもの。
「入札方式や技術提案の評価は適切だったか」や「業務や工事の成績評定は適切だったか」など12項目の質問に、5段階で評価をしてもらいその平均を算出したものです。
評価では、12の質問を、「受注者を見る目」「頭の柔らかさ」「基礎技術力」「コミュニケーション力」「働き方改革の取り組み」という5つのカテゴリーに分けレーダーチャートで表す試みもしていますが、ここでも北海道開発局はすべての項目で1位を獲得。
受注者からは「技術力や柔軟性を評価する意見が多く挙がった」とされています。
記事の中では北海道開発局技術管理課の高野真司課長補佐による、「2009年度に始めた『施工効率プロジェクト』を毎年改善しながら続けてきたのが一因だろう」という声が紹介されています。
また実際に私が現場の開建本部や事務所を訪ね歩いていても、今の現場の課長クラスの方たちは、人格も穏やかで技術力もあり、前向きな方が多くて安心できるという感覚があります。
そういうところが素直に評価をされたのかな、と改めて誇らしい気持ちになりますね。
評価の番外では、「今後も一緒に仕事をしたいか」という問いもあり、そう答えた人の割合では、北海道開発局は愛知県、長野県に続いて第3位の85.7%を獲得。ここでも高い評価を得ています。
問題は、こうした良い組織風土を次世代にしっかりと繋いでゆくことになるでしょう。
開発局でも今後若い職員が激減する時代を迎えます。
技術力の保持、受注者への温かい目、コミュニケーション力など、先輩職員は自分たちの職分を守るだけではなく、自分たちの次を意識した日ごろの教育、研鑽活動に心を配っていただきたいものです。
嬉しくなるニュースでした。
【日経XTECH】 発注者ランキング、受注者が採点 https://nkbp.jp/2HfJqbL