北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

自転車で北海道を楽しむ島にしたい ~ 自転車利用環境向上会議in北海道・札幌

2019-08-29 22:40:03 | Weblog

 

 白石区にある札幌コンベンションで開催された「第8回自転車利用環境向上会議in北海道・札幌」に参加しました。

 自転車活用推進法が3年間に成立し、同活用推進計画もでき、いよいよ予算化がすすめられる段階となりました。

 自転車でよりよい社会を築くためのいろいろな知恵を集めます。

 しかし自転車をもっと使おう、と言われても、まだまだいろいろな問題が転がっています。

 自転車のための道路空間が狭すぎることはその一つですし、ヘルメットや交通ルールを守るといった交通安全対策や保険の問題、さらには、サイクルツーリズムで観光振興をする動きもありますが、まだまだ個別の施設や事業者は対応が不足しています。

 そういう意味でも、このような会議が開催されて関係者がたくさん集うことは、一つの力になることでしょう。


    ◆

  
 今日のプログラムで興味深かったのは、「スイスモビリティ」です。

 これは、北海道くらいの面積に800万人が暮らす観光国スイスでの、観光受け皿のための取り組みです。

 始まったのは2008年で、それまでバラバラだった観光ルート、案内サイン、情報発信、マーケティング、コミュニケーション、そしてゲストの受け入れといった観光の要素を一つにまとめて調整し、統合しようという試みです。
 
 スイスの観光ルートは33000㎞に及んでいて、国家レベルで推薦できる「ナショナルルート」、地域を代表する「地域ルート」、もっと狭い範囲の「ローカルルート」という3段階に分けられて設定されています。

 スイス政府も関係して、これに26の地方行政区である州やツアーオペレーター、日本でいう国土地理院のようなところや交通事業者まで、広範な関係機関が全て関わって観光の後押しをしています。 

 そして観光客がスイス国内を移動する手段である、公共交通はもちろん、自転車、マウンテンバイク、ハイキング、カヌー、登山までもがスムースに行えるような連携活動をしています。

 北海道からも何人もが見学に訪れていて、「鉄道やケーブルカーを待っているときに自転車を(分解せずに)そのまま車内に持ち込むことができて、それが実にごく当たり前という、その当たり前であることに驚きました」という報告もありました。

 公共交通が自転車などの移動手段を実に鷹揚に迎え入れ、移動する人には、荷物を次の宿泊先まで届けるようなシステムが連動しています。

 スイスモビリティについての基調講演は、スイスモビリティ財団のルーカス・スタッドテールさんが行ってくれましたが、講演の最後には、「スイスモビリティをコピペしてください」と言って北海道を応援してくださいました。


    ◆


 後半のパネルディスカッションでは、そのスイスモビリティについて、「個人の移動と公共交通を上手に結び付けていることを評価して、これを北海道に移植したいと考えているという、北海道開発技術センターの原さんの司会で、自転車を活用したまちづくりについて有識者が語り合いました。

 興味深かったのは、宗谷シーニックバイウェイでの取り組みで、ここではまさにスイスモビリティに刺激を受けて、地元のバス会社である宗谷バスが自転車をそのまま車内に乗せる取り組みを利尻島で行ってみるなど、国内でも先駆的な取り組みをしているという報告がありました。

 「日本のてっぺんである宗谷岬は道内を訪れるサイクリストの憧れの場所の一つであり、そこへ来てもらうために地元がどれだけの受け皿を用意すべきかについて、スイスモビリティは大いに参考になる」と代表の杉川さんはおっしゃいます。

 私自身は今まで「スイスモビリティ」と聞いても今一つぴんと来なかったのですが、今日のお話を聞いて初めて、「移動すること自体を楽しむゲストがいて、それをサポートするシステムがスイスモビリティだ」と納得しました。

 ただその一方で、「自転車でも移動し、カヌーでも移動し、ハイキングもする」というようなトライアスロンのようなツアーを楽しむ人はどれくらいいるのかな、と疑問もあるところ。

 北海道は魅力的な場所が多いのですが、それをつなぐための公共交通が弱いのが難点です。

 まずは公共交通が移動するアクティビティに対して目線を下げて、受け入れるようになることが第一の段階のように思えました。

 自転車で北海道を良い島にしたい、という思いを共有する関係各位の連携に期待するところです。

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