約10年ぶりくらいに、札幌市南区の滝野すずらん丘陵公園へ行きました。
ようやく落ち着いたクマ騒動のお見舞いと、少しだけ舗装の営業を兼ねての訪問です。
滝野公園のクマ騒動を最初に経験した事務所長はかくいう私であり、『閉園するの簡単だが安全確認をして開園するのは難しい』ということを最初に経験したのも私です。
私が所長の時は、それまでクマ騒動は一件もなかったので、公園外周部のフェンスもありませんでした。
滝野公園の南側敷地はそのまま支笏湖まで続く森林に接しているわけで、迷い熊が出没することは避けようがありません。
それでも私の時は、秋に親離れする子熊が好奇心で歩き回る大冒険だろう、ということで結論付けられ、「そういう子熊は、一日に50kmも移動するので、滝野公園内に留まるようなものではありません」と言われましたが、それでも園内に熊がいないことを確認するのは難しく、何日もの巡回でクマの痕跡が出ないという実績が必要でした。
今ではその後に整備された頑丈なフェンスが滝野公園の周囲に張り巡らされているわけですから、これから大丈夫とだれもが思ったはず。
ところが園内で母熊と子熊が監視カメラに映ったことから、最初はどこからはいったものかがわからなかったのだそう。
そこでフェンス上部にネズミ返しまでつけたうえで張り巡らせた番線をくまなく調べたところ、ある個所で熊の毛が一本ついていたのを発見し、フェンスを越えたと結論付けられたのだそうです。
その後騒動が落ち着いたところで、熊がやはりフェンスを越えて園外へ逃げたのではないか、とされた根拠もやはりフェンス上部の番線に熊の毛がついていたことでした。
人間ならば痛そうでとても進めないような番線ですが、熊に対しては毛を絡めとるということだけに有効な手段なのです。
フェンスを越えられたという事実がある以上、それに対する対策が求められますが、今度は電気柵を設置しましたので、これでまた防御網が一つ増えたことになります。
なお、園内にもう熊がいないことを確信するために今回は、軽井沢から特別に訓練された"ベアドッグ"とトレーナのコンビに来ていただいて、園内をくまなく踏査したとのことで、それでも犬がクマに反応しなかったことも、いないことの証拠に一つになったそう。
ベアドッグという訓練された犬がいることは全く知らず、これから必要になる場面が多そうです。
なお、海外ではベアドッグのほかにも盲導犬などの「職業犬」への扱いが社会的に認知されており、飛行機などでは飼い主の足元に置けるのに対して、日本ではまだその認識が不足していて荷物として貨物に預けられてしまい、それは犬にとってかなりのストレスになるとのこと。
たかが熊騒動というなかれ。
今では園内を巡回する職員は必ずクマ鈴をつけることが常識になっていたりもして、熊のいるかもしれない公園での振る舞い方のレベルも高いのが滝野公園の管理スタッフ。
世にこれだけ熊の棲息の圧力をコントロールしようとしている公園はおそらくないでしょう。
今回の騒動を説明する資料のレベルも相当高くなっていて、優秀な後輩の皆さんの努力に頭が下がります。
園内を少し見学させてもらいましたが、子供たちの喧騒は昔と変わっていませんでした。
滝野すずらん丘陵公園には、子供たちの思い出になる楽しい公園であり続けて欲しいものです。