【王将戦第三局より「毎日新聞サイト」より】
私こと、将棋には全く詳しくないのですが、それでも最近の藤井聡太4冠の活躍にはワクワクする思いです。
つい最近も、現王将保持者の渡辺明さんに藤井聡太竜王が挑む『王将戦七番勝負』は、将棋ファンだけではなく、多くの最年少記録を持つ藤井聡太ファンやアンチ藤井も巻き込んで大きな盛り上がりを見せています。
この第一局が、私の心の故郷掛川市の二の丸茶室で行われたというのも心の琴線をかき鳴らすのですが、これまで「掛川市での対局は負けたことがない」という渡辺王将からジンクスを破壊する勝ちを奪ったり、その勢いでこれまで3連勝するなど、話題には事欠かない状態です。
さて将棋は全く詳しくない私ですが、ネットの世界には将棋ド素人の私でも楽しめるような解説サービスがあふれています。
先日私がみつけて(これは楽しい!)と思ったのが、『元奨励会員アユムの将棋実況』というyoutubeチャンネル。
こちらは、著作権の関係で棋譜を書き込むことはできないのですが、毎日新聞のサイトで棋譜が見られるサービスがあるので、この両方をパソコンの画面で開いて楽しむことができました。
『アユムの…』の方では様々な将棋の対局をライブで実況解説しているのですが、その画面上には「水匠5」という「たややんさん」という方作成のコンピューター将棋ソフトによる次の一手の評価値と現在の戦況が数値で表示されているのです。
水匠は、前のバージョンの『水匠4』が2021年7月に行われた『第2回世界将棋AI 電竜戦TSEC』で優勝するなど、現在トップクラスの実力を持つ将棋ソフトのこと。
これが次の一手とその後の予想棋譜を評価値の高い順番に5種類ほど選んで、今後の戦況を予想するというものです。
次の一手にどんな可能性があって、それはどの程度戦況に影響するのかが数字で読み取れるというのは実に分かりやすい。
いろいろなスポーツ番組でもアナウンサーの横には解説者がいて、次にこうするとどうなるかについて様々な解説をしてくれます。
しかし聴いている分には楽しいのですが、動きの速いスポーツには一歩先の未来に対する解説にはさしたる根拠があるようには見えず、あくまでもショー的な要素の一つです。
やはり頭脳対決での戦況の変化は手に汗握るドキドキ感があります。
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第3局での勝負にはシンボリックな一瞬がありました。
1、2戦で連敗した渡辺王将でしたがこの日は序盤の互角状況から中盤にかけて少しずつ戦況を有利に展開していました。
それが先手藤井竜王が95手目に「4五桂」を打った際に、水匠5では後手渡辺王将はある一手以外は戦況が藤井竜王側に傾くという評価を出しました。
その一手を渡辺王将が打てるかどうか…。
毎日新聞の場面解説では有力視されていたのですが、結果的に渡辺王将はその手を指しませんでした。
その結果、AIソフトの評価値はぐっと藤井竜王に傾きました。
ライブ中継を同時に見ていた将棋ファンからはその瞬間、「うわー」という悲鳴に似た書き込みが溢れかえりました。
その後もぎりぎりの攻防が続いたのですが、最後はAIソフトが読み切った29手詰めを藤井竜王が指し間違いをせず勝利。それもまたすごくて話題になりました。
次の戦況をわかりやすくする"見える化"する解説があれば、目の前の勝負事はもっと魅力的に見せることができる。
AI時代の到来、ネット時代の到来、ユーチューバー棋士の登場など、新しい時代は確実にやってくるんですねえ。