北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

自立的な組織に変えるには価値観を揺さぶれ ~ NHKラジオ「マイBiz」より

2022-02-24 20:55:45 | Weblog

 

 教育の話題。
 
 いつも聞いている朝のラジオ番組「三宅民夫のマイあさ!」。

 今日の6時台後半の「マイBiz」は「当たり前を変えると組織は変わる」というテーマで、元千代田区立麹町中学校校長で現在は横浜創英中学・高等学校(横浜市)校長の工藤勇一さんのお話。

「一人ひとりが自立的に動ける組織に変えるには」という問いで、学校のみならず企業にも当てはまる変革の手法をお話していただきました。

三宅「工藤さんは、生徒も教員も自立的に動くようになるためには何が大切とお考えですか?」
工藤「自立型の生徒を育てるためには自立型の教員・組織が必要ですが、言われたことしかできない教員組織は『手段の目的化』を起こしやすいのです。何のためにそれをするのか、ということを考えなくなると、本来の目的の実現が損なわれてしまいます」

 工藤さんは、そのためにまず第一に必要なことは、教員の意識改革だとして以下のようなお話をしました。

 人の意識を変えるのは簡単ではない。その人が自分の力で変わらなくてはならず、その手伝いをするということが大事。

 具体的にはその人自身が代わる体験を作ってあげることが必要で、一度でもその体験があれば、ほかのことでも適用ができて意識改革が進むようになる。

 そのために有効な方法の一つとして、『物事の優先順位を考えさせる』ということがある。

 具体的に学校の事例を挙げると、学校現場では『毅然として叱る』という言葉がある。

 生徒に対してダメなものはダメ!とはっきり伝えるということで、一見悪くなさそうだがこれが独り歩きをすると、叱ること自体が目的化してなんでもかんでも叱るったり、さらにはなんでもかんでも怒鳴りまくったりするようになることすらある。

 「叱ることが目的化しないように」ということのために麹町中学校でやったことは、叱ることのリストを作って「何を一番に叱らなくてはならないか」という順番をつけさせて、一人ひとりの価値観の確認作業を皆で行った。

 例えば、下記の行為について叱るべき順番を考えてみてほしい。

①コンビニで万引きをした
②学校で授業中にお菓子を食べた
③掃除係をさぼった
④授業中に漫画を読んだ
⑤四階のベランダの柵にまたがって遊んだ
⑥「お前は障碍児だ」と馬鹿にした
⑦違反の服装で登校した

 このリストを示して自分が最も叱るべきと思うものにいくつでも○をつけさせた。

 そして皆で一つ一つ確認をしていったが、初めてやった時は皆自分が普段叱っている通りに○をつけたのだろうが、まあ教員ごとに違った。

 私が示したのは、「まず四階のベランダの柵にまたがって遊んでいる、というのは命の危険があるでしょう。死んじゃうかもしれず、まずは命だろう、と。その次に犯罪とか人権ではないか」といった形で、皆と価値観のすり合わせをしていった。

 そうすると、語弊はあるが「お菓子を食べた」とか「漫画を読んだ」、ましてや「違反の服装で登校した」などは、今何をおいても叱るべき前者の項目に比べるとあまりにも叱ることへの程度に差があるということが分かってくる。

 これが価値観の揺さぶりになり、これをやった後は一人ひとりの叱り方が変わってきて、当時ものすごくルールの厳しかった麹町中学校だが結果として数年後にほとんど校則がなくなった。

 一人ひとりのなかに優先すべき上位の目標と下位の目標がしっかりとできてくると皆が自立できるようになりそれが組織の力に変わってゆく。

 教員一人ひとりに『目的はなんだろう』ということをしっかりと考える習慣をつけさせることが非常に大事だ。

 そしてそのためには自由に対話ができる環境が大事で、フランクな対話の中で日常的な問題までがどんどん改善できるようになってくる。


      ◆


 教育とは自分の価値観を押し付けて叱って従わせることではない、という意味で、非常に興味深いお話でした。

 その結果、例えば今工藤先生が校長をしている横浜創英中・高では、職員会議が15分ほどで終わるのだそう。

 以前は2時間くらいかかっても終わらなかったといわれる職員会議ですが、今ではしっかりと目的は何でそのための手段はどうするか、ということが決められる組織になっているのだと。

 学校や会社などの組織運営に限らず、自分自身でも手段が目的化してなんのためにやっているのかわからないことがないだろうか、と自問自答する良い機会でした。

 やることはちゃんと意味あるようにやり、意味がないと気づいたことは止めてみてはどうでしょうか?

コメント
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