北の心の開拓記  [小松正明ブログ]

 日々の暮らしの中には、きらりと輝く希望の物語があるはず。生涯学習的生き方の実践のつもりです。

2030年までに町ぐるみで脱炭素 ~ 上士幌町の本気と覚悟

2022-09-01 21:49:59 | Weblog


  【今月のDECマンスリーのインタビュー記事より】

 

 月曜日~火曜日と帯広方面へ出張に出てきました。

 お仕事についでに上士幌町の竹中町長をお訪ねして「第一回脱炭素先行地域に指定されたことの反響」について伺ってきました。

 これは、環境省が今年の1月25日から2月21日にかけて全国の自治体に向けて募集をかけたもので、102自治体・79件の応募があったとのこと。

 その中で、上士幌町の脱炭素に向けた計画提案内容が高く評価をされ、2022(令和4)年4月26日に全部で26件の脱炭素先行地域の一つとして選定されたものです。

 竹中町長は、「今回の応募では、『2030年までに町内全体で二酸化炭素排出量を50%削減する』と説明しました。
 わが町には町面積の76%を占める広大な森林があってこれが大きなCO2吸収源になります。これまでにも家畜糞尿の利用でバイオガスプラントによる資源循環発電を行っていてこれは域内の地産地消エネルギーとして利用されています。
 またぬかびら源泉峡での温泉熱や中小水力発電の可能性も検討します。
 私たちはすでに令和2年にバイオガスなどのこれまでの取り組みを『ジャパンSDGsアワードの内閣官房長官賞を受賞しており、これを契機にその取り組みを深化させたのが今回の受賞につながったものと思っています」と説明してくださり、町としての本気度がうかがえました。


 また裏話として、「募集に対して全国から様々な自治体から応募があったが、『町全体で取り組んでいる』という姿勢が高く評価されていると感じている。資料づくりには北電や環境省からもサポートを受けたが、全て職員が自前で作ったものなのでヒアリングに際してもひるんだりコンサルの方を振り向くようなこともなく、自信をもって受け答えができたのも嬉しかった」と職員を大いに自慢されていました。

 また今回の先行地域指定により、様々なところからの視察要望が増えたことを喜んでおり、「この上士幌モデルを参考にして多くの自治体にも脱炭素の取り組みを進めて欲しいと願っています」とも。

 お話を聞くと、道内では石狩市と鹿追町が同時に指定されたのですがこの2つは自治体内の一部地域を対象とした提案であって、上士幌町がすごいのは、全町で脱炭素を図るという覚悟であって、これが審査では高く評価されたようです。

 町長は、「今後この指定によって得られる50億円の補助金を活用して町内の家庭や企業に対して太陽光パネルや蓄電池の設置に対して補助をする制度をつくり、家庭と企業単位でもCO2を出さないようなまちづくりを進めてゆく」と受賞の成果を実利として町民に還元できることも大きな成果だと語っていました。


 「こうした取り組みを積極的にしている自治体と言うことで知名度が上がり、今後はドローンによるスマート物流の試験をおこなったり自動運転バスの社会実験なども予定している。これからの社会問題に積極的に関わっているというメッセージが浸透して、各方面からの注目が増していることを実感している」と、取り組みの成果がどんどんほかの方面でも波及していることで、役場の中でもますますやる気が出ているようです。

 自治体の首長って、役場職員や町民を鼓舞して一丸となれるリーダーシップを発揮すればかなりのことができるもので、そういうトップリーダーの姿を竹中町長に見ることができます。

 ふるさと納税が始まったころにはその制度を活用した寄付をたくさん集めたことで注目もされた上士幌町。

 まだまだいろいろなことをやる自治体として注目です。


【参考】「脱炭素先行地域とは」
 脱炭素先行地域とは、2050年カーボンニュートラル実現に向けて、民生部門(家庭部門及び業務その他部門)の電力消費に伴うCO2排出の実質ゼロを実現し、運輸部門や熱利用等も含めてそのほかの温室効果ガス排出削減についても、日本全体の2030年度目標と整合する削減を地域特性に応じて実現する地域。
 2025年度までに、全国で少なくとも100か所を選ぶ方針が示されており、選定された地域には、「地域脱炭素移行・再エネ推進交付金」(上限50億円)が交付される。

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