先日、半年ほど連絡のなかった東京の友人から突然電話がかかってきました。
「おや、どうしたの?」
「いや、誕生日おめでとうを言いそびれていたのでね」
「僕もいい歳になりましたよ。最近はちょっと不健康気味だし」
「それを言うと僕の方は今年の夏はひどい目に会った」
「なにそれ」
「熱中症にかかっちゃってさ…」
「なんだ、そんなこと?」
「熱中症を軽く見ない方がいいよ、だって…」
聞けば、エアコンのない部屋で寝ていて熱中症になった彼。三日間点滴を受ける羽目になり、とりあえず熱中症は治ったのだそう。
ところが熱中症が怖いのはその後遺症だったのだと。
「自律神経がやられちゃって、気温に関係なく汗が出たりして体を元に戻そうというホメオスタシスが働かなくなりました。医者からは『一時間に100ml飲みなさい』と言われたんだけど飲み込めなかったりね。なにより食欲が湧かなくなって、68kgの体重が58kgにまで落ちて、さすがにこりゃダメだと思って無理してでも食べるようにしてここ何日かでようやく戻ったかな、という感じですよ」
彼は「本当にひどい目に会った」と笑っていましたが、ようやく笑えるほどに体力が回復したということのようです。
かくいう私の方も最近はなにかと体の不調が目立つので、「お互い歳は取っても、健康は大事にしなくちゃね」という気持ちが強くなっています。
すると彼は「こういう不調を経験して、いよいよ自分の体は外に替え難い唯一無二の存在なんだと思ったよ」と言います。
「どういうこと?」
「歳を取ると体にガタが来る、と言うと何か平均的に誰しもが老化の症状が進むように思うよね。
でも自分の老化の症状や不健康は自分の体の弱いところを襲ってくるもので、まさに自分自身の体の特徴と言うか弱点を理解しておく必要があると思ったわけ。
自分の体を襲う不具合の特性や癖を理解して、それを予防したり克服することが大事なんだなあ」
私も最近耳の調子が悪くて、と言うと、「それが小松さんの体の弱点でありウィークポイントなんでしょう。それを意識した生活をしないとね」という忠告でした。
また「でも、何かができなくなったり、できるレベルが下がるとしても、それを当たり前と思うようになりますよ」とも。
私自身も今日はかかりつけの耳鼻咽喉科の先生に、先日のめまい症状のフォローで診察を受けてきましたが、「かなり改善しましたが、まだ若干めまいの症状が残っていますね」という診断をいただきました。
さらに、親指を立ててそれを両眼で見ながら首を左右に振ったり上下に振ったりするというリハビリのやり方を教えてもらって、「これを一日何度でもいいからやってみてください」と指導されました。
弱さを自覚して、そこは補うしかありません。
歳をとるということは、唯一無二の自分の体との付き合い方が次第に繊細になってゆくということなのでしょうね。
自分の体との向き合い方を歳相応に変えなくてはなりません。