北広島市で開催されている「2024ふゆトピア・フェアin北広島」の二日目の今日は、冬関連の研究発表会です。
北広島駅を降りてすぐのところにある北広島市芸術文化ホールを会場に、ホール2会場で一日かけて全部で40編の研究発表がありました。
私は2会場を行ったり来たりしながら興味ある発表を聞き、時に質問をして充実した一日になりました。
最近は道路の維持管理を効率化させるIT技術や、AIを用いて人間が判断していたことを代わりに機械にやらせるというような技術開発が増えました。
路面状況判断や除雪に出るのか出ないのかなど、機械が人間と同じように判断ができればより少ない人出で業務が行えることでしょう。
特に道路維持や除雪関係は業界が人出不足なのでこうした技術開発への意識も高く、様々な研究が行われています。
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さて、人出不足は地域振興にも影を落としていて、人口減少と少子高齢化によって地域の暮らしが守れないという地域でも様々な工夫がされています。
今日の発表で興味深かったのは、東北地方整備局青森河川国道事務所の方が発表された「バス停スコップ設置事業による地域づくり」でした。
日本でも有数の豪雪地帯である青森市では、平成17年から「バス停オアシス化計画」として国道4号と国道7号沿線のバス停に除雪のためのスコップを設置するという事業を展開しているのだそう。
これはバスが来るまでの待ち時間に、乗客が自らボランティアとして乗り場の雪かきをして乗り降りを安全にしようという取り組みで、もう18年も続いているんですね。
取り組みとしては毎年24節気の一つである"大雪"の日にスコップ設置式を行いますが、これはマスコミも毎年取り上げてくれる季節の風物詩になっているそう。
そして置かれたスコップは利用者にしっかりと使われていて、設置されたところでは誰か彼かが乗降場所の雪かきがされているそう。
また置かれたスコップが盗難にあうといった事件もないそうで、青森市民の民度の高さが伺えます。
ただこの事業にも課題があって、一つにはこれを推進していた団体である「あおもり雪国懇談会」が令和5年3月に解散したことで、この事業が継承されるのかどうかが心配されています。
また次の課題は、まだ一部のバス停にしか設置されていないことで、今のところ国道沿線のバス停なので国道事務所も協力できているのですが、他の市道などで設置されたときの保管場所などに課題があるとのこと。
しかし最初の受け皿団体の問題は、青森市内の学生団体が受け皿になってくれそうな動きがあるそうで、もしそうなれば若い人の参加がもっと促されるという効果が期待されるかもしれません。
また国道管理者以外の道路管理者の協力が得られるかは引き続きこれからの課題です。
とはいえ、少なくとも専門の事業者が請け負うというビジネスでの維持管理ではなく、志ある市民の協力によって小さな名もなき仕事が行われるというのはこれからの人口減少社会の一つのモデルに違いありません。
もっと行政が住民に協力を求めることで社会の管理が行われる社会を求めても良いように思うのですがいかがでしょうか。
青森市内の「バス停スコップ設置事業」に北海道の近未来の姿が見えるような気がします。