政治を行うには「政治的資産」が豊かでなくてはできないことがたくさんあります。
ここでいう政治的資産とは、今世間を騒がせている政治資金というお金だけのことではありません。
政治家にとっては自分のことが信頼されて政治を実現するための要素、それが政治的資産です。
もちろん資金ということもその一つであることは否定できません。
たくさんのポスターを製作したりマスコミへの露出を増やして名前と人柄を売込み、まずは自分の存在や考え方を認知してもらうということは選挙での当選の重要な要素です。
しかし政治家は当選することだけではなく、当選後にどのような政治を行ったかということが一番問われるべき職業です。
そして、次回も投票をしてもらうために有権者に媚びて祭りごとの王道を外すようでは、長い目で見た時に世間の信頼を失ってしまうことでしょう。
選挙で投票をしてくれる有権者を前にして、この社会の未来にとって正しい道を堂々と提示して、それを実行しなくてはなりません。
時には有権者にとって負担が増えたり辛くなる道を選ばなくはならないこともあるでしょう。
それでもそれらを実行したうえでそれでも信頼と支持をしてもらうためには政治的資産が必要です。
ここでいう政治的資産にはすでに述べた資金もありますがそれ以外に、若さ(政治家として活動できる時間)、信頼、人気、実績、世間の雰囲気などですが、実は政治家本人の見た目も「ルッキズムはけしからん!」と言われたところで現実には資産と言えるでしょう。
アメリカのバイデン大統領とトランプ大統領の戦いは高齢者同士の戦いでもあり、特に年上のバイデン大統領にとっては、「高齢は政治的負債だ」とも言われているようです。
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翻ってわが日本、岸田総理の支持率が低迷しているということを盛んに煽り、政治的安定性を損なうことを喜ぶ向きが存在していることは情けない限りですが、現実には支持率というのは重要な政治的資産です。
岸田総理の就任直後には、防衛費増額や少子化対策などそれまでの課題を取り払おうとしたことで私は政治家として評価していたのですが、それにしても地震災害があったり、内閣の身内から不適格者が出たり、今般の政治資金不記載問題など、必ずしも本人の責とは思えないような足を引っ張る不運が重なっているようです。
運・不運は時が味方するかどうかですが、政治的対決では野党はこぞって支持率や人気、などの政治的資産を削ろうとする行動をとるものです。
そして結果として政治的資産が失われれば、それは我が国が新しい時代を迎えるための制度(法律)創設や国民的合意・団結することの妨げとなるので、国民の側にも冷静な目が必要になるのです。
本来ならば日本が向かう高齢化社会における社会保障の実現に向けては、若者の将来のためにも増税議論は避けようがないところですが、政治的資産が潤沢になければこうした真っ当な政治は実現できようもありません。
そうこうするうちに議員任期という時間資産を失い、不人気負債が増大するようでは社会を変化させる政治にとって身動きが取れなくなるというのは国にとって不幸なことです。
しかし、政治的資産が潤沢にある方が良いといって、政治的資産が潤沢にあるだけのリーダーに期待しようとするのも危険ですね。
国民一人ひとりが自らの当事者意識を高めて、自ら責任を持つような国の風土づくりから始めなくてはいけないでしょうか。
私自身にも時間資産は残り少なくなりました。
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