日本の貧困率が公表されて、先進国で際立つ高水準なのだそうです。
ああ、日本も貧乏になったのだなあ…、と思いがちですが、本当にそうなのかよく考えてみたいと思います。
まずはメディアからの引用です。
---------- 【ここから引用】 ----------
<貧困率>日本15.7% 先進国で際立つ高水準 10月20日13時2分配信 毎日新聞
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091020-00000047-mai-soci
長妻昭厚生労働相は20日、国民の貧困層の割合を示す指標である「相対的貧困率」が、06年時点で15.7%だったと発表した。日本政府として貧困率を算出したのは初めて。経済協力開発機構(OECD)が報告した03年のデータでは、日本は加盟30カ国中4番目に悪い27位の14.9%で状況は悪化している。日本の貧困が先進諸国で際立っていることが浮き彫りとなった。
相対的貧困率は、国民の所得分布の中央値と比較して、半分に満たない国民の割合。今回はOECDの算出方法を踏襲した。06年の子供(17歳以下)の相対的貧困率も14.2%で、03年のOECDデータの13.7%(30カ国中19位)より悪化している。
03年OECDデータで貧困率が最も高いのは、メキシコの18.4%で、トルコ17.5%、米国17.1%と続く。最も低いのはデンマークとスウェーデンの5.3%。
長妻厚労相は「OECDの中でもワーストの範ちゅうに入っており、ナショナルミニマム(国が保障する最低限度の生活)と連動して考えたい。来年度から支給する子ども手当で貧困率がどう変化するかもシミュレーションしていく」と述べた。
民主党は衆院選マニフェスト(政権公約)で貧困の実態調査と対策を明記していた。【佐藤浩】
【ことば】▽相対的貧困率▽ 国民一人一人の所得(等価可処分所得)を順に並べて真ん中の額(中央値)を割り出し、その額の半額に満たない人の割合がどのくらいかを示す。国民の経済格差を示す指標となる。等価可処分所得は、直接税などを除いた世帯の可処分所得を世帯の人数の平方根で割って算出する。06年の所得を基にした中央値は228万円。
---------- 【引用ここまで】 ----------
この最後の相対的貧困率の説明は、一見事実を説明をしているようでいながら巧みに本質を避けています。
相対的貧困率に対しては「絶対的貧困率」という指標もあり、それとの違いや、貧困を多面的な視点で捉えた議論がなくてはなりますまい。

http://www.worldmapper.org/display.php?selected=149
The map shows the earnings of the poorest tenth of the population living in each territory. Japan is disproportionately large because Japan is the territory where the poorest have the highest average incomes.
India is large because a tenth of the population (105 million) earning a little each, earn a lot together.
In territories with the lowest per person earnings amongst the poorest tenth, measured in purchasing power, the poor earn less than 1% of the earnings of the richest groups of poor people.
【訳】
地図は、それぞれの領土ごとに、所得が全人口の下位10%の範囲に属する人たちの総収入を示しています。日本は、圧倒的に大きく表示されていますが、これは最低所得者の平均収入が最も高いことを示しています。つまり、人口に対して領土が大きく表示されているほど、世界的に見て、その領土の低所得層の人たちは裕福ということになります。
インドが大きく表示されているのは、人口の10%(1億5百万人)が、それぞれ僅かな収入でも、全体では高い収入になっているからです。
購買力で計ったとき、所得が下位10%に属する人たちの一人当たりの収入が最も低い領土では、貧困層の所得は、最裕福層の所得の1%以下だというデータが出ています。
※ ※ ※ ※
これと同じく、下位20%の人たちの収入による地図もあるのですがそちらには、『日本は世界で最も豊かな貧者を抱える地域である。日本在住者のなかで最も貧しい20%の平均所得は他の8地域の同等グループの平均所得の少なくとも7倍はある』と書かれています。
http://www.worldmapper.org/display.php?selected=151
相対貧困率で大変だ、と言う前に、数字の意味を別な観点で見て、草ではない見方も紹介して欲しいものです。
その両方があれば、読者はそれなりに考えることが出来るはずです。多分今のメディアに欠けているのは、そうした違う視点からのコメントであり、それがない一方的な価値観の垂れ流しは、タダの洗脳に近くなってしまうのだと思います。
ちなみに、ソースは同じですが、それぞれを数字で表したデータもありました。
---------- 【ここから引用】 ----------
人口の下位10%貧困層の所得(2002年調査) http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_03.html#Jinkou
順位 国名 人口(100万人) 平均年間所得
1 ルクセンブルグ 0.4 $23,800
2 ノルウェイ 4.5 $14,395
3 日本 127.5 $12,894
4 フィンランド 5.2 $10,469
5 アイルランド 3.9 $10,231
6 スウェーデン 8.9 $9,404
7 オーストリア 8.1 $9,001
8 ドイツ 82.4 $8,683
9 オランダ 16.1 $8,172
10 ベルギー 10.3 $8,021
11 デンマーク 5.4 $8,007
12 スイス 7.2 $7,901
13 アイスランド 0.3 $7,701
14 フランス 59.8 $7,498
15 カナダ 31.3 $7,386
情報ソース WorldMapper Poorest Tenth
人口の下位10%貧困層の年間所得を平均したものです。都市国家や、人口の少ない諸国を除き、人口5000万人以上の国々で見ると、日本の貧困層(下位10%)が圧倒的な高所得である事が分かります。
$12,894と言っても、日本は物価が高いから暮らしは貧しい、などの理屈を言うなかれ。
デフレと価格破壊を経て、ビッグマック指数でも見たように、日本国内の物価は諸外国に比べると、安くなっているのが現状です。「日本は物価高」など、もはや世迷言でしかありません。少なくとも日本国内における$12,894は、物価高に悩むヨーロッパにおける$12,894よりも、はるかに価値があります。
また、ベスト15に発展途上国の中国や韓国が入っていないのは分からないでもないですが、アメリカや英国までもが入っていないのは、注目するべきでしょう。ちなみに、アメリカの数値は$6,730、英国は$5,504でした。
---------- 【引用ここまで】 ----------
一方的な見方しか示されていない時にはそれを疑うような視点を常に持ち続けたいものです。
ああ、日本も貧乏になったのだなあ…、と思いがちですが、本当にそうなのかよく考えてみたいと思います。
まずはメディアからの引用です。
---------- 【ここから引用】 ----------
<貧困率>日本15.7% 先進国で際立つ高水準 10月20日13時2分配信 毎日新聞
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091020-00000047-mai-soci
長妻昭厚生労働相は20日、国民の貧困層の割合を示す指標である「相対的貧困率」が、06年時点で15.7%だったと発表した。日本政府として貧困率を算出したのは初めて。経済協力開発機構(OECD)が報告した03年のデータでは、日本は加盟30カ国中4番目に悪い27位の14.9%で状況は悪化している。日本の貧困が先進諸国で際立っていることが浮き彫りとなった。
相対的貧困率は、国民の所得分布の中央値と比較して、半分に満たない国民の割合。今回はOECDの算出方法を踏襲した。06年の子供(17歳以下)の相対的貧困率も14.2%で、03年のOECDデータの13.7%(30カ国中19位)より悪化している。
03年OECDデータで貧困率が最も高いのは、メキシコの18.4%で、トルコ17.5%、米国17.1%と続く。最も低いのはデンマークとスウェーデンの5.3%。
長妻厚労相は「OECDの中でもワーストの範ちゅうに入っており、ナショナルミニマム(国が保障する最低限度の生活)と連動して考えたい。来年度から支給する子ども手当で貧困率がどう変化するかもシミュレーションしていく」と述べた。
民主党は衆院選マニフェスト(政権公約)で貧困の実態調査と対策を明記していた。【佐藤浩】
【ことば】▽相対的貧困率▽ 国民一人一人の所得(等価可処分所得)を順に並べて真ん中の額(中央値)を割り出し、その額の半額に満たない人の割合がどのくらいかを示す。国民の経済格差を示す指標となる。等価可処分所得は、直接税などを除いた世帯の可処分所得を世帯の人数の平方根で割って算出する。06年の所得を基にした中央値は228万円。
---------- 【引用ここまで】 ----------
この最後の相対的貧困率の説明は、一見事実を説明をしているようでいながら巧みに本質を避けています。
相対的貧困率に対しては「絶対的貧困率」という指標もあり、それとの違いや、貧困を多面的な視点で捉えた議論がなくてはなりますまい。

http://www.worldmapper.org/display.php?selected=149
The map shows the earnings of the poorest tenth of the population living in each territory. Japan is disproportionately large because Japan is the territory where the poorest have the highest average incomes.
India is large because a tenth of the population (105 million) earning a little each, earn a lot together.
In territories with the lowest per person earnings amongst the poorest tenth, measured in purchasing power, the poor earn less than 1% of the earnings of the richest groups of poor people.
【訳】
地図は、それぞれの領土ごとに、所得が全人口の下位10%の範囲に属する人たちの総収入を示しています。日本は、圧倒的に大きく表示されていますが、これは最低所得者の平均収入が最も高いことを示しています。つまり、人口に対して領土が大きく表示されているほど、世界的に見て、その領土の低所得層の人たちは裕福ということになります。
インドが大きく表示されているのは、人口の10%(1億5百万人)が、それぞれ僅かな収入でも、全体では高い収入になっているからです。
購買力で計ったとき、所得が下位10%に属する人たちの一人当たりの収入が最も低い領土では、貧困層の所得は、最裕福層の所得の1%以下だというデータが出ています。
※ ※ ※ ※
これと同じく、下位20%の人たちの収入による地図もあるのですがそちらには、『日本は世界で最も豊かな貧者を抱える地域である。日本在住者のなかで最も貧しい20%の平均所得は他の8地域の同等グループの平均所得の少なくとも7倍はある』と書かれています。
http://www.worldmapper.org/display.php?selected=151
相対貧困率で大変だ、と言う前に、数字の意味を別な観点で見て、草ではない見方も紹介して欲しいものです。
その両方があれば、読者はそれなりに考えることが出来るはずです。多分今のメディアに欠けているのは、そうした違う視点からのコメントであり、それがない一方的な価値観の垂れ流しは、タダの洗脳に近くなってしまうのだと思います。
ちなみに、ソースは同じですが、それぞれを数字で表したデータもありました。
---------- 【ここから引用】 ----------
人口の下位10%貧困層の所得(2002年調査) http://members3.jcom.home.ne.jp/takaaki.mitsuhashi/data_03.html#Jinkou
順位 国名 人口(100万人) 平均年間所得
1 ルクセンブルグ 0.4 $23,800
2 ノルウェイ 4.5 $14,395
3 日本 127.5 $12,894
4 フィンランド 5.2 $10,469
5 アイルランド 3.9 $10,231
6 スウェーデン 8.9 $9,404
7 オーストリア 8.1 $9,001
8 ドイツ 82.4 $8,683
9 オランダ 16.1 $8,172
10 ベルギー 10.3 $8,021
11 デンマーク 5.4 $8,007
12 スイス 7.2 $7,901
13 アイスランド 0.3 $7,701
14 フランス 59.8 $7,498
15 カナダ 31.3 $7,386
情報ソース WorldMapper Poorest Tenth
人口の下位10%貧困層の年間所得を平均したものです。都市国家や、人口の少ない諸国を除き、人口5000万人以上の国々で見ると、日本の貧困層(下位10%)が圧倒的な高所得である事が分かります。
$12,894と言っても、日本は物価が高いから暮らしは貧しい、などの理屈を言うなかれ。
デフレと価格破壊を経て、ビッグマック指数でも見たように、日本国内の物価は諸外国に比べると、安くなっているのが現状です。「日本は物価高」など、もはや世迷言でしかありません。少なくとも日本国内における$12,894は、物価高に悩むヨーロッパにおける$12,894よりも、はるかに価値があります。
また、ベスト15に発展途上国の中国や韓国が入っていないのは分からないでもないですが、アメリカや英国までもが入っていないのは、注目するべきでしょう。ちなみに、アメリカの数値は$6,730、英国は$5,504でした。
---------- 【引用ここまで】 ----------
一方的な見方しか示されていない時にはそれを疑うような視点を常に持ち続けたいものです。