『不都合な真実(An Inconvenient Truth)』2006年アメリカ映画をシャンテシネで観てきました。(水曜女性1000円を利用しました)
この映画はクリントン大統領時代の副大統領アル・ゴアが取り組んでいる地球温暖化問題のスライド講演の様子とアル・ゴア氏の生い立ちのフィルムを並行させながら構成したドキュメンタリーです。私の記憶のなかのゴア氏は、1997年の国連気候変動枠組条約第三回締約国会議(京都会議)で、アメリカと日本が非協力的だったので議定書採択が難航すると、ゴア副大統領が急遽、日本に飛んで、京都メカニズムを取り入れ、議定書採択にこぎつけたということ、2000年の大統領選挙での不可思議なゴタゴタで敗北してしまったゴア氏、このときは本当に残念に思ったということです。
今回の映画で、地球温暖化への取り組みは1960年代の大学の授業(ハーバード大・ロジャー・レヴェル教授、大気中の二酸化炭素量に注目し1957年から測定を始めた。この測定は以前に行う人はいなかった)に衝撃を受けて、地球温暖化に取り組むようになったとのこと、70年代後半から連邦議会下院議員を三期、1984年から1992年にクリントンから副大統領を指名されるまで上院議員を務め、環境保護関連の法案提出に尽力していたということを知りました。さらに、1989年4月3日、当時6歳の息子でアルバート君がボルティモア・オリオールズの開幕戦から帰る途中交通事故に遭い、瀕死の重傷を負ったことでゴア氏の人生観の変化がおこったということです。大統領予備選に向けてクリントンに対抗する基盤作りよりも息子の回復を見守ることを選び、その間に環境保護を訴える本(Earth in the Balance 邦題:『地球の掟』)の執筆を行なったことを知りました。ゴア氏は1ヶ月生死をさまよった後、回復した息子が大人になった時の地球環境を考え、地球温暖化問題に取り組む決意をしたとのことでした。どうやら副大統領時代のゴア氏が京都議定書をまとめるために日本にやってきたのはライフワークの一環だったようです。彼の環境保護は本物だったのです。2000年の大統領選に敗北は彼にとってかなりの打撃だったようですが、その後は、地球温暖化問題に邁進したようです。熱意、行動力、経済力、知名度を生かし、温暖化の影響をうけている世界の各地域を調査して周り、とりわけ、原潜に乗り込んで北極の海底の調査、南極を訪問した時の映像は温暖化問題のプレゼンテーションにインパクトをあたえました。二酸化炭素の増加と気温の変化のデータは地球温暖化の事実を説得する力がありました。映画が進行する中で、ゴア氏は戦争についてどのように考えているのかしら、温暖化対策をどのように実現する方針なのかしらという私の疑問は膨らみました。それらを映画は全て語っていました。戦争については昔の弓矢や剣の戦いではなく強力な破壊力兵器が使われるので、戦争はやらないほうがよい。また、温暖化対策は、一人ひとりの生活の中で省エネ等を行うことで、1970年の排出量にまで下げられる、と、とても分かりやすい解説で現実的なものでした。地球と金塊を天秤にかけたイラストの説明はスムーズに温暖化対策へと導いていました。地球環境を重視すると経済はダメになる、経済重視すると地球環境は守れないという考え方は両方とも間違っている、というのがゴア氏の考え方です。地球環境を守れば経済も活性化して進展するという説です。例えばトヨタやホンダはアメリカの自動車メーカーより売り上げがいい理由は、燃費がよく、環境を考える車作りを推進しているから売れるという説明でした。
温暖化対策は国の問題ではなく人類の問題として、国境を越えて取り組みたいというゴアの言葉が印象的でした。
このようにゴア氏の考え方は人々が実現可能なことを示しているので、多くの人の共感を得る所以となっているのだなと思いました。
映画の最後に、自然を考える立候補者に投票を、もし、そのような人がいなければ自分で立候補を・・・・・是非、この映画を観ることを薦めてくださいと、終わりました。
1997年採択の京都議定書は2005年ロシアが批准して発効となりました。当時の私の思いをホームページに書きましたので、お時間がありましたら読んでください。(その文の中の太陽光は太陽光発電のことです)←クリックしてね
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