去年の今日は、アメリカによる空爆が始まったことと、その翌日にはジョン・レノン音楽祭に出かけることになっていたのとで、とても複雑な気持ちでいました。今日はどんな一日になるだろう、としばらく前から考えていて、、、前に少しメモっていた事と、いただいたメールから感じた事と、重ね合わせてちょっと書いてみました。
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「The Joshua Tree」に入っている16年前の曲「where the streets have no name」。ロックがすっかり死んでしまったように感じた80年代の中で、絶えることなく燃えていた焔。U2の熱狂的支持者というのではなかったし、ただ脳天に響き渡るエッジのギターもボノの声もずっと心の奥にあって、自分が駄目になりそうな時いつも聴きたくなった。もし、明日死ねと言われたら、間違いなく聴くのも、この曲。
今年のボノの話題は国際政治のことばかりだった。アフリカの税政サミットに出席し、米財務長官とアフリカ諸国を視察し、仏では経済援助を取り付けてきた。世界で最も有力な政治力を持つ人間のひとり、とまで評されるようになったボノ。ダブリンの不良高校生で、ドラマーのラリーの張り紙で集まった友達で・・ボノがこんな風に政治的影響力を持つようになるとまでは思ってなかったけれど、彼らがアイルランド人だったことはとても重要。(このことを詳しく書いていくのはムリなので、省略します・・)
英国19世紀の詩人パーシー・ビュッシー・シェリーの『縛を解かれたプロミシュース』(岩波文庫)の中で、コーカサスの岩に縛られていたプロミシュース(プロメテウス)は鎖を解かれたとき、時の精にこう告げた。「行け、人類の多くの都市に、疾風を脚とする駿馬に乗って。もう一度、太陽よりも疾く走って、円球の世界を周って来なさい。あなたの戦車が、激しく動く空気をつき裂いて行く時、幾重にも、らせんを巻いたその貝の中にあなたは息を吹き入れてその大いなる音楽を放ちなさい・・(略)」
世界中を駆け回るボノの姿は、ステージにつくられたハート型の花道を疾走して歌う姿と同じで、プロメテウスの命を受けて放たれた精の姿のようだ。争い、暴力、権力、盲信、神、、、これらすべてに勝る人間の力が「詩魂」であると信じたシェリーの意志とおなじように。
円球の世界をたった1本の鉄道の力で結ぶのは不可能。けれどもプロミシュースの言う「音楽」を、信じ愛する事ができる者なら、たとえ荒野の中でも、砂漠の上でも、めいめいが歩き出し、そして向かっていこうとする道はどこかでクロスする。力によって名づけられた通りではなく、「名も無き通りの上で」かならず互いに出会う瞬間が来るはず。考えも行動も全く違う者同士だったけれど、道が重なり合った、と感じた瞬間が私にもあった、たしかに。。
そのうちに間違いなくボノは、ノーベル平和賞か、国連総長だろうな・・(笑)。ヨシュアトゥリーはアメリカの砂漠に生えるユッカの木だってライナーには書いてある。ボノ、、地球はどこまでも砂漠化していくよ、(でも彼はいつだって本気だから)・・べつにボノに偉くなって欲しいんじゃないです。小さきもののままでいい、自分もまたプロミシュースに放たれた精のように「詩」を「音楽」を愛する者でありたいと願うだけ。名も無き通りで人々と出会うために・・。
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「The Joshua Tree」に入っている16年前の曲「where the streets have no name」。ロックがすっかり死んでしまったように感じた80年代の中で、絶えることなく燃えていた焔。U2の熱狂的支持者というのではなかったし、ただ脳天に響き渡るエッジのギターもボノの声もずっと心の奥にあって、自分が駄目になりそうな時いつも聴きたくなった。もし、明日死ねと言われたら、間違いなく聴くのも、この曲。
今年のボノの話題は国際政治のことばかりだった。アフリカの税政サミットに出席し、米財務長官とアフリカ諸国を視察し、仏では経済援助を取り付けてきた。世界で最も有力な政治力を持つ人間のひとり、とまで評されるようになったボノ。ダブリンの不良高校生で、ドラマーのラリーの張り紙で集まった友達で・・ボノがこんな風に政治的影響力を持つようになるとまでは思ってなかったけれど、彼らがアイルランド人だったことはとても重要。(このことを詳しく書いていくのはムリなので、省略します・・)
英国19世紀の詩人パーシー・ビュッシー・シェリーの『縛を解かれたプロミシュース』(岩波文庫)の中で、コーカサスの岩に縛られていたプロミシュース(プロメテウス)は鎖を解かれたとき、時の精にこう告げた。「行け、人類の多くの都市に、疾風を脚とする駿馬に乗って。もう一度、太陽よりも疾く走って、円球の世界を周って来なさい。あなたの戦車が、激しく動く空気をつき裂いて行く時、幾重にも、らせんを巻いたその貝の中にあなたは息を吹き入れてその大いなる音楽を放ちなさい・・(略)」
世界中を駆け回るボノの姿は、ステージにつくられたハート型の花道を疾走して歌う姿と同じで、プロメテウスの命を受けて放たれた精の姿のようだ。争い、暴力、権力、盲信、神、、、これらすべてに勝る人間の力が「詩魂」であると信じたシェリーの意志とおなじように。
円球の世界をたった1本の鉄道の力で結ぶのは不可能。けれどもプロミシュースの言う「音楽」を、信じ愛する事ができる者なら、たとえ荒野の中でも、砂漠の上でも、めいめいが歩き出し、そして向かっていこうとする道はどこかでクロスする。力によって名づけられた通りではなく、「名も無き通りの上で」かならず互いに出会う瞬間が来るはず。考えも行動も全く違う者同士だったけれど、道が重なり合った、と感じた瞬間が私にもあった、たしかに。。
そのうちに間違いなくボノは、ノーベル平和賞か、国連総長だろうな・・(笑)。ヨシュアトゥリーはアメリカの砂漠に生えるユッカの木だってライナーには書いてある。ボノ、、地球はどこまでも砂漠化していくよ、(でも彼はいつだって本気だから)・・べつにボノに偉くなって欲しいんじゃないです。小さきもののままでいい、自分もまたプロミシュースに放たれた精のように「詩」を「音楽」を愛する者でありたいと願うだけ。名も無き通りで人々と出会うために・・。